運送業の車庫を移設・新設したいときの手続きとは

一般貨物車庫

運送業を営んでいて、車庫の移転が必要になるケースはよくあることです。
「事業が拡大してきたので、車庫を新設したい」といった事業者の方もいらっしゃることでしょう。

車庫の移設または新設(増設)をするには、一般貨物自動車運送事業の事業計変更画認可申請を運輸局に行う必要があります。

そして、車庫を移転または新設(増設)するには、さまざまな要件があります。
その要件を知らずに土地を確保してしまうと、車庫として申請しても認可が下りないという事態になりかねません。

この記事では、運送業(一般貨物自動車運送事業)の車庫に関する注意点を解説します。

目次

運送業の自動車車庫の要件

運送事業の車庫にするためにはさまざまな要件があります。

車庫としての要件
①農地法・都市計画法に抵触していない
②使用権限の要件
③計画する自動車を容易に収納できる広さであること
④前面道路の要件
⑤営業所との距離の要件

それぞれの要件を満たしていないと、車庫として認可が下りません。
各項目を詳しく解説していきます。

農地法・都市計画法に抵触していない

運送業の自動車車庫は、農地には置くことができません。

よくある勘違いなのですが、農地に車庫は置けないということを「見た目が田んぼや畑でなければ良い」と勘違いしてしまうことです。

農地とは、基本的には土地の登記の地目が田か畑となってる土地のことです。
見た目は砂利の空き地のようなところでも、登記簿の地目が田や畑になっている可能性があるので注意が必要です。

土地の地目は、法務局で登記簿を調べることにより確認することができます。

土地が市街化調整区域に該当していないかどうかも重要です。
運送業の自動車車庫を市街化調整区域に置くことは、屋根無しの車庫であれば可能ですが、市街化調整区域には、基本的に建物を建築することができないため、営業所を隣接することができなくなります。

また、有蓋(屋根付き)の車庫を市街化調整区域に置くことはできません。

POINT

農地に車庫を置くことはできない。市街化調整区域にも注意が必要

使用権限の要件

運送業の車庫にする土地について、使用権限があることの要件があります。

その土地が自己所有であれば、何ら問題はありません。
認可申請時には登記簿謄本が必要となります。

車庫の土地を賃貸する場合には注意が必要です。
賃貸借契約書の契約期間が1年以上、または1年未満の場合には、契約期間満了時に自動的に契約が更新される賃貸借契約書が必要となります。

POINT

車庫の土地が賃貸の場合、契約期間を1年以上にする必要がある

車庫の広さの要件

一般貨物自動車運送事業の車庫は、車両と自動車車庫との境界線及び車両相互間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画するすべての自動車のすべてが容易に収納できるものであるという要件があります。

よって、全てのトラックなどが隙間なく何とか入るといった広さではいけないということです。

POINT

車両と車両や車両と壁などは50センチメートル以上の間隔を確保する必要がある

前面道路の要件

幅員証明書

運送業の自動車車庫の要件として、「出入口の前面道路の幅員が車両制限令に適合し、かつ、交通安全上支障がないものであること」というものがあります。

車両制限令とは、道路法第47条1項の規定に基づき定めれれた政令で、道路の構造保全や交通危険を防止するために通行できる車両の制限を定めています。

車両制限令では、地区域にあるかどうかなどで通行できる車両の幅を規定しています。
例えば、一般的な4tトラックの車幅2.13mですので、2.5mの幅の車両が通行できる幅員が必要となります。


一般的な4tトラックの車両の幅の場合、市街地区域内の道路であれば車庫の前面道路は5.5m以上の幅員が必要であり、市街地区域外の道路であれば5m以上の幅員が必要ということになります。

一般的に『運送業の車庫前面道路は6.5mあれば大丈夫』と言われるのは、この車両制限令に違反しないための必要な幅に関係があります。

幅員証明書

車庫の候補地の前面道路の幅はメジャーで測っても知ることはできます。
しかし、その土地が市街地区域内など、どの区分の道路に該当するかで必要な前面道路の幅員が変わってきます。

では、どうすれば良いというと、道路管理者から「幅員証明書」を取得し、確認することが必要となります。

幅員証明書とは、道路管理者である行政が申請者の申請した道路の幅を何メートルであると公に証明する種類のことをいいます。

幅員証明書は確認のためだけでなく、車庫の移転・新設の事業計画変更認可申請の添付書として提出する必要があります。

道路管理者は、府道であれば「府」、市道であれば「市」といったように管轄が変わります。

道路の管理に関する問い合わせ先は、地方自治体のホームページなどで確認することができます。
「大阪府ホームページ【大阪府の道路管理に関する問い合わせ先】」

前面道路が国道の場合

車庫の移転・新設における事業計画変更認可申請の場合、前面道路の幅員証明書を添付資料として提出しないといけないことは前述した通りです。

しかし、前面道路が国道の場合、幅員証明書の提出は必要なくなります。

営業所との距離の要件

運送業の営業所と車庫の距離には制限があります。

車庫と営業所は併設するものであることが原則となります。
ただし、土地などの状況により併設できない場合も当然あります。そのような場合には、各運輸局で定められた距離制限の範囲ないであれば認めらます。

大阪府での距離制限は、市町村によって変わります。

10キロメートル以内下記以外の市区町村
5キロメートル以内貝塚市・泉佐野市・泉南市・能登郡・泉南郡及び南河内郡のうち太子町、 河南町及び千早赤坂村

大阪府では、運送業の車庫と営業所の直線距離は、一部地域では5キロメートル以内でなければなりませんので注意必要です。

運輸局の管轄が変われば距離の条件も変わりますので、管轄の運輸局の情報を確認する必要があります。

POINT

大阪府では、営業所と車庫の直線距離は10キロメートル以内と5キロメートル以内の地域がある

まとめ

この記事では、一般貨物自動車運送事業の車庫移転・新設について解説してきました。

車庫を移転・新設しようとすると、要件が細かく、調査が必要な事柄も多くあります。

土地を契約してから、『運送業の車庫にはできない土地だった』と後悔してしまうことのなっては大変です。
リスク回避及び運輸局への手続きを間違わないように、専門家である行政書士までお気軽にご相談ください。

一般貨物自動車運送事業の事業計画変更認可申請はお任せください

勝浦行政書士事務所では、一般貨物自動車運送事業の事業計画変更認可申請代行を行なっております。
運行車の車両数の変更・車庫の拡大・車庫の移転・営業所の移転など、事業計画変更認可申請が必要なケースは多々あります。

「日常業務が忙しく、必要書類の手配ができない」「手続きが難しく何をして良いかわからない」といった事業者様は、ぜひ当事務所までご相談ください。

大阪府内であれば出張料金無料です。
当事務所代表行政書士は運送事業の経験者です。
運送業の事業計画変更認可申請代行は、当事務所にお任せください。

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