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個人事業主でも運送会社を設立することはできるのか

貨物個人事業

トラックなどを使用して行う運送業を始めるためには、定められた要件を満たし、許可を得る必要があります。

軽自動車や二輪の自動車を用いて行う「貨物軽自動車運送事業」とは違い、トラックなどを使用して行う「一般貨物自動車運送事業」は許可制で取得要件も厳しくなっています。

運送会社さんは法人のイメージしかない方も多いかもしれません。
では、個人事業主として一般貨物自動車運送事業を始めることはできないのでしょうか。

この記事では、個人事業主として、一般貨物自動車運送事業を始めることができるかについて解説します。

運送業は個人事業でも始められる

個人事業主で運送業開業

法人設立をせずに個人事業主として運送事業を行うことは可能です。

運送業許可の要件として、法人経営でないと許可が下りないといったことはありません。

しかし、貨物軽自動車運送事業のように1人で始めることができません。
一般貨物自動車運送事業では、運行管理者1人・整備管理者1人及び運転手5人を確保しなければ開業することはできません。

運行管理者と整備管理者は兼任することが可能ですが、それでも6人の人材が必要になります。

個人事業と聞くと、「従業員を雇用せずに一人で開業する」「家族だけで頑張っていく」といったイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、一般貨物自動車運送事業の場合、個人事業で立ち上げても、最低でも5人の雇用が必要ということです。

個人事業と法人経営の違い

運送業を個人事業で行うか、法人経営で行うかは経営者の判断や選択によります。

個人事業でのメリット・デメリット、法人経営でのメリット・デメリットがありますので、両方を理解した上で検討することが重要です。

個人事業のメリット

⚫︎開業の手続きが簡単
⚫︎初期費用を抑えて開業できる

個人事業のデメリット

⚫︎税金面での優遇が法人には劣る
⚫︎法人に比べて社会的な信用を得にくい

法人経営のメリット

⚫︎社会的な信用度が高い
⚫︎税金面での優遇措置がある

法人経営のデメリット

⚫︎設立の手続きが難しい
⚫︎設立費用がかかる
⚫︎資本金を用意しないといけない

軽自動車を使用して行う「貨物軽自動車運送事業」は車1台から始められることもあり、『個人事業主として一人で稼いでいく』というビジネスモデルに適していますが、一般貨物自動車運送事業の場合は法人経営で行うことが一般的です。

一般貨物運送運送事業と貨物軽自動車運送事業での違い

一般貨物と軽貨物

一般貨物自動車運送事業では、「営業所ごとに配置する車両の台数は5台以上であること」という規定があるため、基本的には5台以上の車両が必要になります。

例外もあり、霊柩運送や一般廃棄物運送、一般的に需要の少ないと認められる島しょ(島しょとは、周りを海や湖で囲まれた陸地のこと)で事業をする場合は台数の条件は除外されます。

したがって、最低でも5台以上の車を準備し、運転手を5人と運行管理者と整備管理者を兼任したとしても6人以上の人材が必要となります。

一方で、貨物軽自動車運送事業は車1台から始められます。
「自分が軽貨物ドライバーの個人事業主」というように、個人事業として始めやすくなっています。

また、一般貨物自動車運送事業では、運行管理者と整備管理者の選任が必要となりますが、貨物軽自動車運送事業では、運行管理者の選任義務はありません。

一般貨物自動車運送事業を経営しようと思うと、自身が運行管理者や整備管理者の資格を保有するか、資格を保有している従業員を雇用しなければなりません。

軽貨物運送では、車両を10台以上使用して事業を行う場合は整備管理者の選任が必要となります。
しかし、10台未満であれば整備管理者の選任も必要ないため、運行管理者や整備管理者の資格がなくても開業することができます。

まとめ

一般貨物自動車運送事業は、「車両台数の要件」「人の要件」「資格の要件」「資金の要件」など開業するためのハードルが高いことが事実としてあります。

軽貨物運送のように、個人事業主として一人で頑張っていくといったビジネスモデルになっているとは言えません。

法人設立には、設立費用や法人登記、赤字でも法人税がかかるといったデメリットがありますが、運送業界では、取引先によっては、法人であることが取引の条件になることもあり、信用度においても法人化するメリットはあります。

一般貨物自動車運送事業は個人事業主としても始めることはできますが、通常は株式会社を設立し運送業許可を取ることがほとんどです。

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