2025年の貨物自動車運送事業法改正により、一般貨物自動車運送事業(トラック運送業)の許可制度が大きく変わることになりました。
その中でも、多くの運送会社が注目しているのが「5年ごとの許可更新制」です。
これまで一般貨物自動車運送事業の許可は、一度取得すれば原則として更新の必要はありませんでした。
しかし、今後は一定期間ごとに許可の更新を受ける制度へ移行が予定されています。
この記事では、
- 更新制はいつから始まるのか
- 更新制の概要
- 更新時に確認されると考えられるポイント
- 今から事業者が準備しておくべきこと
についてわかりやすく解説します。
一般貨物自動車運送事業の更新制とは?

許可の更新制とは、その名のとおり許可を一定期間ごとに更新しなければ事業を継続できない制度です。
これまでの一般貨物自動車運送事業では、
- 許可取得
- 各種変更認可・変更届
- 監査
などはありましたが、許可自体を更新する制度はありませんでした。
しかし、改正後は、適正に許可更新手続きを行い、許可更新を受けなければ、一般貨物自動車運送の許可の効力を失うことになります。
更新制はいつから始まる?
2025年6月に成立・公布された改正貨物自動車運送事業法では、更新制度の導入が盛り込まれました。
しかし、2026年8月現在、更新制はまだ施行されていません。
公布の日から3年以内に施行とされており、更新制度は2028年6月頃までに施行される予定です。
そのため、「更新制は決まったが、開始日はまだ正式決定していない」というのが現時点(2026年8月時点)での正確な状況です。
更新時には何が確認される?

現時点では詳細な更新基準は今後示される予定ですが、改正法では許可基準として法令を遵守して事業を遂行する能力などが重視される方向性が示されています。
例えば、次のような点が確認対象になると考えられます。
- 法令遵守状況
- 運行管理体制
- 整備管理体制
- 輸送の安全確保
- 事業継続能力
- 各種届出の状況
- 社会保険料の納付
- 労働者の適切な処遇の確保
今後、国土交通省から詳細な更新基準や運用方法が公表される見込みです。
Gマークを取得していれば有利になる?
現時点では、Gマーク(安全性優良事業所)取得が更新要件になるという発表はありません。
ただし、Gマークとは、国土交通省が推奨する「安全性優良事業所」の認定制度です。
Gマークの審査では、主に次のような項目が評価されます。
- 法令の遵守状況
- 点呼・運行管理の実施状況
- 車両の整備管理体制
- ドライバーへの安全教育
- 事故・行政処分の状況
- 安全性向上に向けた継続的な取組
これらは、いずれも日頃から適切な事業運営が行われているかを確認する内容です。
したがって、更新審査において、安全管理体制やコンプライアンスへの取組を示す一つの要素として評価される可能性は十分に考えられます。
ただし、現時点では国土交通省から「Gマーク取得事業者を更新審査で優遇する」といった制度は公表されていません。
今後、施行までに示される政省令や更新基準の内容を注視する必要があります。
更新できなかったらどうなる?

一般貨物自動車運送事業の許可は、更新制度の施行後、原則として5年ごとに更新を受ける必要があります。
法律上、更新を受けなければ、現在の事業許可は有効期間の満了によって効力を失います。
国土交通省の資料でも、トラック運送事業の許可は「5年ごとに更新を受けなければ、効力を失う」と明記されています。
つまり、許可の更新が認められなかった事業者は、それまでと同じように一般貨物自動車運送事業を継続することができません。
更新が認められない主なケース
国土交通省の公表資料では、次のような法令を遵守していない場合、事業許可の更新がなされないことが示されています。
- 輸送の安全確保に関する法令を遵守していない
- 社会保険料を適切に納付していない
- 適正原価を継続的に下回る運賃で運送している
- 労働者の適切な処遇を確保していない
- その他、事業に関係する法令を遵守していない
更新審査では、申請時点だけを整えるのではなく、5年間を通じた事業運営の状況が確認される制度になると考えられます。
今から準備しておくべきこと
更新直前になってから未納の社会保険料を整理したり、点呼記録や運行管理体制を整えたりしても、それまでの違反状況や行政処分の履歴が確認される可能性があります。
したがって、許可を確実に更新するためには、
- 点呼記録や運行記録を適切に作成する
- 運行管理者・整備管理者を適切に選任する
- 労働時間や改善基準告示を遵守する
- 社会保険料や税金を適切に納付する
- 必要な変更認可・変更届出を行う
- 巡回指導や監査で指摘された事項を改善する
- 適正な運賃・料金を収受する
といった日常的な管理が重要になります。
また、変更届出や変更認可申請が必要な変更事項が生じた場合に、適切に対応を行うことも重要です。
当事務所で対応した案件でも、
- 整備管理者が変更になったにもかかわらず、変更届を提出していなかったケース
- 車庫の一部にコンテナを設置したにもかかわらず、車庫の減面に伴う変更認可申請を行っていなかったケース
などがありました。
これらは、「普段の業務では特に問題ない」と考えられがちな事項ですが、法令上は届出や認可が必要となるケースです。
更新制度では、日頃から法令を遵守して適正に事業を運営しているかが重視されるため、このような手続き漏れも更新審査に影響する可能性があります。
許可更新制が導入されると、一般貨物自動車運送事業の許可は「一度取得すれば半永久的に使えるもの」ではなくなります。
更新が認められなければ事業を継続できず、そのまま運送業務を行えば無許可営業となる可能性があります。
そのため、更新時だけ書類を整えればよいというものではありません。日頃から法令を遵守し、必要な届出や認可申請を適切に行いながら事業を運営していくことが、更新制度への最も重要な対策となるでしょう。
まとめ
一般貨物自動車運送事業の更新制は、運送業界にとって大きな制度変更です。
現時点ではまだ施行されていませんが、2028年6月頃までに導入される予定であり、今後、更新基準や申請方法などの詳細が順次公表される見込みです。
更新制度が始まってから慌てるのではなく、
- 法令を遵守した事業運営
- 安全管理体制の整備
- 必要な変更認可・変更届出の実施
- 日頃からの適切な記録・帳簿管理
を継続しておくことが、将来の許可更新につながる重要なポイントとなります。
なお、更新制度の具体的な運用方法や更新基準については、今後、国土交通省から政省令や通達などで明らかにされる予定です。
当事務所でも、制度の詳細が公表され次第、本記事を随時更新するとともに、最新情報や実務上のポイントをわかりやすくお伝えしていきます。
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