「相続財産にならいなもの」とは何があるのかを解説

民法896条では『相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。』と規定しています。

被相続人の一身に専属したもの」には、例えば、扶養の権利義務や親権、生活保護受給権など、被相続人の人格や身分に強く結びついた権利義務があたります。

この記事では、被相続人の一身に属したもののように、相続財産には含まれないと解されているものを3点解説していきます。

この記事を読んで欲しい人

生命保険金や香典が相続財産になるかどうか知りたい方

 

目次
  1. 香典・祭祀費用                  
  2.               
  3. 死亡退職金                  
  4. 生命保険金
  5. まとめ
目次

⓵香典・祭祀費用

祖先の祭祀のための財産(お墓など)は、相続とは別のルールで承継されます。

香典は、喪主に対する贈与であって、相続財産には含まれないと解されています。
葬儀費用についても、喪主が負担すべきものであり相続財産に対する請求はできないと解されています。

⓶死亡退職金

死亡退職金は、公務員や民間企業の従業員の死亡に際して、勤務先から支払われる退職金です。
死亡退職金は、契約上あるいは法律上の固有の地位に基づいて原始的に取得するものと解されています。

つまり、受給権者(死亡退職金を受け取る者)が自己固有の権利として取得するものということができ、相続財産には属さないと考えることができます。

ただし、死亡退職金を受け取る相続人と受け取らない相続人との間に到底是認することができないほどに著しい特段の事情がある場合、民法903条の特別受益者の相続分が類推適用される余地があると解されています。

⓷生命保険金

生命保険に関しては、受取人を誰に設定していたかによって相続財産になるかどうかが変わります。

①受取人を「被相続人自身」としている場合
 死亡保険金は相続財産となり、相続法に基づいて相続人に承継されることになります。

②受取人を「特定の相続人」としている場合
死亡保険金は、特定の相続人の固有の権利として取得するものであり、相続財産とはならないと解されている。

③受取人を「相続人」としている場合
死亡保険金は、保険契約に基づく相続人固有の財産とされ、相続財産には含めないと解されている

※特定の相続人を受取人に指定している場合、『保険金受取人である相続人とその他の相続人との間に生ずる不公平』が到底是認することができないほどに著しい特段の事情がある場合については、例外として、特別受益に準じた持ち戻しの対象とするという判例があります。

つまり、共同相続人の一人を多額の生命保険の受取人とする場合、他の相続人との財産取得額があまりに不公平だと、生命保険金は共同相続人間で相続分に応じて分割しなければならない可能性があるということです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
この記事では、相続財産には含まれれないと解釈されているものを紹介してきました。

生命保険金や死亡退職金は基本的には指定されている方が受け取れるものですが、あまりにも相続人間で不公平が生じる場合、特別受益となる余地もあります。

特定の方に多く財産を残したい場合、いかに不公平感を出さないようにするかが重要になってきます。

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