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”超高齢化社会”が”相続”にもたらす問題とは

高齢化と相続

高齢化率というのは0~14歳を年少人口、15~64歳を生産年齢人口、65歳以上を高齢者人口としたとき、総人口に占める高齢者人口の割合を言い、この高齢化率によって分類・定義していると考えられています。

総務省統計局における人口推移によれば、2023年4月時点で日本の総人口は1億2445万人。65歳以上が3619万人でそのうち75歳以上が1975万人となります。
総人口における65歳以上の比率が29%を超えることになります。

高齢化率が7%以上であると高齢化社会、14%以上であると高齢社会、21%以上であると超高齢社会とされています。

日本は総人口における65歳以上の割合が29%を超え、超高齢化社会に突入しているわけですが、高齢化には様々な弊害が予想されます。
高齢化社会には経済成長率の問題や社会福祉の問題が考えられます。その中でも、この記事では、超高齢化社会では相続関係においてどういった弊害が考えられるかを考えていきたいと思います。

この記事を読んで欲しい人

高齢化が相続にもたらす問題点を知りたい方

 

認知症と相続問題

高齢化とともに認知症患者の方の数も増加していくという予想の厚生労働省データがあります。
その予想によると、2012年では65歳以上の方の認知症率が対人口比で15%であったのに対し、2025年には人口比で20%まで上昇するという予想です。

高齢化が進むと、親が認知症になるというケースだけではなく、高齢の子どもが認知症になってしまうケースも考えられます。
したがって、親の相続が発生した時に、相続人の子どもが認知症になっているとケースもあります。

親が認知症となった場合には、遺言書が残せないといった弊害が予想されます。
遺言書を書くには遺言能力が必要となり、遺言能力がない方が書いた遺言書は無効となってしまいます。遺言能力とは、遺言者が遺言の際に、遺言内容及びその法律効果を理解・判断するために必要な意思能力をいいます。

年を重ねるにつれて認知症になる確率が増えることは事実として理解できるかと思います。相続人のために遺言書を残したくても認知症になってしまって遺言書を書けないといったケースが増加する恐れがあります。

では、親が80歳でも90歳になっても元気だったとしても、60歳を超えた子どもが認知症になってしまった場合はどうでしょうか。
子どもが認知症となってしまった場合、親の相続が発生した時にどのような弊害があるでしょうか。

相続人が認知症になると遺産分割協議の問題がでてきます。
相続が発生すると、遺産分割を行う必要があります。遺言書がなければ、遺産分割協議を行わなければなりません。
しかし、認知症の方は遺産分割協議に参加することができません。遺産分割協議は法律行為となり、意思能力を持たない方の法律行為は無効となるからです。

かと言って、認知症の方を放っておいて、他の相続人だけで遺産分割協議を行うこともできません。
遺産分割協議は共同相続人全員で行う必要があるからです。共同相続人の一部を欠いた遺産分割協議での遺産分割は無効となってしまうからです。

このように、被相続人が高齢になって遺言書が残せない場合だけでなく、相続人が高齢となって遺産分割協議に支障をきたすケースも今後ますます増加していくと考えられています。

遺言書を書くには意思能力が必要ということに関しては、過去記事にて詳しく解説しています。ご参考にしていただければ幸いです。

被相続人が認知症になれば遺言書を作成できない、相続人が認知症になれば遺産分割協議で代理人を立てる必要がある。

超高齢化社会と空き家問題

相続と空き家問題

平成30年の総務省発表データによると、全国の空き家は846万戸となっています。総住宅数における空き家の割合は13.6%となっており、空き家の数が年々据えているという事実を指し示しています。

では、高齢化社会と空き家はどのような関連があるのかを、相続においての問題点を絡めて見ていきましょう。

相続登記をされないと起こる弊害

平均寿命が長くなるにつれ、相続が発生した時の相続人の年齢も高齢化していきます。
相続人自身が自宅を所有している場合に、不動産を相続したとして、その不動産の管理や活用について問題を抱えてしまう可能性が考えられます。

『住む家はあるから住めない。かといって親との思い出のある家を売却するのはちょっと』と思う方もいらっしゃいます。
現在では相続登記は義務化されていないため、相続登記されないまま亡くなった方が不動産名義人になっている土地も多く、そこからさらに相続が発生してしまうと、誰から誰に相続された土地かがわからなくなってしまいます。

過去に、『地方自治体が農道に道路を通す計画あり、登記を調べたところその土地の一部の登記名義人に20年以上前に亡くなった父親の名前があって、地方自治体から相続をどうするか?との通知が突然あった。どうすれば良いのかわからない』ということがありました。

父親が亡くなった時には相続財産などは無いと思い、相続人の方々は特に相続手続きをしておらず、父親が不動産の登録名義人になっていることを把握されていなかったそうです。
20年以上経った時には、相続人にも亡くなっている方が複数おり、代襲相続を含めると相続人の数は10人以上となってしまいます。遺産分割協議を行うことも大変な労力が必要となります。

このように、被相続人の方が不動産を所有していることを把握していなかった場合だけでなく、不動産を所有していることを把握していたとしても、売却できる土地でなかったり、相続人が管理できる状態でなかったとき、空き家となり相続登記もされず年月経って相続関係が複雑になってしまうことが危惧されます。

相続登記の義務化

こうした空き家問題もあって、令和6年4月1日か不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました

相続人が複数になった時には遺産分割も必要で労力も時間も要します。相続登記を専門家に依頼すれば費用もかかります。

しかし、令和6年から相続登記が義務化されるため、相続不動産を『とりあえずそのままおいておく』ということは出来なくなります。

令和6年4月1日から相続不動産の相続登記の義務化が始まる

まとめ

高齢化社会が相続問題にどのように影響するか解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

平均寿命が延びるにつれ、相続が発生する年齢が高齢となっていくのは容易に想像できることです。
相続人が高齢になるに従って、考えている以上に問題が多く起こってしまうかもしれません。

相続はいつ発生するかがわからないものです。高齢になってあれもこれもと対策することは心身ともに大変な負担がかかることかもしれません。
元気なうちに相続対策を行い、相続財産が空き家にならないように対策することが大切ではないでしょうか。

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