警備業の認定を受けて警備会社を運営する場合、必ず知っておきたい資格が「警備員指導教育責任者」です。
警備業認定の申請では、営業所ごと・警備業務区分ごとに警備員指導教育責任者を選任する必要があるため、この資格を持つ人がいなければ警備業の認定を受けることができません。
この記事では、
- 警備員指導教育責任者とは何か
- 資格を取得する方法
- 受講要件
- 1号〜4号の違い
について、わかりやすく解説します。
警備員指導教育責任者とは?

警備員指導教育責任者とは、警備業務に関する専門的な知識や技能を有し、警備員に対して適切な指導・教育を行うための国家資格です。
警備業法では、警備業者は営業所ごと、かつ取り扱う警備業務の区分ごとに警備員指導教育責任者を選任しなければならないと定められています。
主な役割は次のとおりです。
- 警備員教育計画の作成
- 新任教育・現任教育の実施
- 警備員への指導・監督
- 教育記録の管理
- 法令遵守のための教育
警備会社にとって、教育体制を維持する重要な役割を担う国家資格です。
警備員指導教育責任者の資格を取得する方法

警備員指導教育責任者の資格を取得する流れは次のとおりです。
講習を修了しただけでは資格者にはならず、資格者証の交付を受けて初めて警備員指導教育責任者として選任できます。
それぞれ解説していきます。
受講資格を満たす
警備員指導教育責任者の新規取得講習は誰でも受講できるわけではありません。
新規取得講習を受講するには、一定の要件を満たす必要があります。
代表的な要件は次のとおりです。
- 最近5年間で該当区分の警備業務に3年以上従事した者
- 該当区分の警備員検定1級合格者
- 該当区分の警備員検定2級取得後、継続して1年以上従事した者
単に警備会社で勤務しているだけでは受講できず、実務経験や検定資格などの条件があります。
公安委員会が実施する講習を受講
警備員指導教育責任者になるためには、都道府県公安委員会が実施する「警備員指導教育責任者講習」を受講する必要があります。
例えば大阪府であれば大阪府公安委員会、東京都であれば東京都公安委員会が講習を実施します。
講習の実施日程や募集人数、受講申込方法などは、各都道府県公安委員会が公示し、都道府県警察のホームページなどで案内されています。
講習には新規取得講習と追加取得講習があります。
- 新規取得講習:初めて警備員指導教育責任者の資格を取得する場合に受講する講習
- 追加取得講習:すでに他の区分の資格を持っており、新たな区分(例:1号から2号)を取得する場合に受講する講習
講習では、警備業法をはじめとする関係法令や警備業務の実務、警備員への教育方法などについて学び、講習の最後には修了考査が実施されます。修了考査に合格し、資格者証の交付を受けることで、警備員指導教育責任者として選任されることができます。
修了考査に合格
警備員指導教育責任者講習の最後には、修了考査が実施されます。
修了考査は筆記試験で、講習で学んだ警備業法などの関係法令や警備業務に関する知識、警備員への指導・教育に関する内容が出題されます。
合格基準はおおむね正答率80%以上とされています。
試験と聞くと難しく感じるかもしれませんが、講習の内容をしっかり理解し、復習をしておけば十分に合格を目指せる試験です。
実際に、私も警備員指導教育責任者(1号・4号)の資格を取得していますが、受講した際の修了考査の合格率は90%を超えていました。
また、講習では問題集を購入することができます。
講義をしっかり受講したうえで、問題集を2~3回程度繰り返し学習しておけば、過度に心配する必要はないと感じました。
もちろん、合格率や試験の難易度は講習の実施時期や都道府県によって異なる場合がありますが、講習内容を理解し、基本的な復習を行うことが合格への近道といえるでしょう。
資格者証の交付申請
講習を受講し、修了考査に合格してもその場で警備員指導教育責任者資格者証をもらうことはできません。
講習修了証明書などの必要書類をそろえ、申請者の住所地を管轄する警察署(生活安全課)へ、資格者証の交付申請を行う必要があります。
修了考査に合格した後は、都道府県公安委員会に資格者証の交付申請を行います。
一般的には、資格者証交付申請書、講習修了証明書、写真、手数料のほか、本人確認書類や誓約書、診断書などの提出を求められる場合があります。
必要書類は都道府県によって異なることがありますので、申請先の警察署や都道府県警察のホームページで最新の情報をご確認ください。
交付申請を行う場合は、交付申請手数料として9,800円が必要です。
資格者証の交付
申請内容に問題がなく、警備業法上の欠格事由などに該当しないことが確認されると、警備員指導教育責任者資格者証が交付されます。
資格者証には取得した警備業務の区分が記載されます。例えば、1号警備業務について資格を取得した場合は、1号警備業務の警備員指導教育責任者として選任することができます。
また、1号の資格を取得したからといって、2号・3号・4号の警備業務についても指導教育責任者になれるわけではありません。複数の警備業務を取り扱う場合には、それぞれの警備業務区分に対応した資格者を確保する必要があります。
警備員指導教育責任者は定期講習の受講も必要
警備員指導教育責任者は、資格者証を取得して営業所の責任者として選任されれば、それで終わりというわけではありません。
警備業者は、営業所に選任している警備員指導教育責任者に対して、公安委員会が行う定期講習を受講させる必要があります。
定期講習は、警備員指導教育責任者として必要となる知識を維持・向上させることを目的として行われるものです。
警備業に関する法令は改正されることがあります。また、警備員を適正に教育・指導するためには、法令だけでなく、警備業務を取り巻く状況や適切な指導方法などについて継続して知識を身につけておく必要があります。
そのため、一度資格者証を取得したら永久に講習を受けなくてもよいという制度にはなっていません。
警備員指導教育責任者として選任されている場合、原則として3年に1回、定期講習を受講する必要があります。
まとめ
警備員指導教育責任者は、警備業務に関する専門的な知識や技能を有し、警備員に対する教育や指導・監督を行う重要な役割を担っています。
警備業を営む場合は、営業所ごとに警備員指導教育責任者を確保すればよいというわけではありません。
平成16年に公布され、平成17年11月21日に施行された改正警備業法により、警備員指導教育責任者について、営業所ごとに加えて、その営業所で取り扱う警備業務の区分ごとに選任する制度となりました。
例えば、1号警備業務と2号警備業務の両方を取り扱う営業所では、それぞれの区分に対応した警備員指導教育責任者を選任する必要があります。
ただし、1人の資格者が1号・2号の両方の資格者証を取得している場合には、その資格者が両方の区分を担当することも可能です。
そのため、これから警備業認定を取得する場合は、
- どの警備業務を行うのか
- その区分の資格者を確保できているか
- 営業所ごとに適切な選任体制を構築できているか
を事前に確認しておくことが重要です。
警備員指導教育責任者は、単に警備業認定を取得するために必要な資格者ではありません。
認定後も警備員の新任教育・現任教育や日常的な指導・監督などを担う、警備会社の適正な運営に欠かせない存在です。



