「不動産会社から『ここならバーができますよ』と言われたので契約しました。」
深夜酒類提供飲食店営業開始届のご相談で、このようなお話を伺うことは珍しくありません。
しかし、不動産会社が「営業できる」と説明したからといって、必ずしも警察へ届出ができるとは限りません。
実際には、物件を契約した後になって「このままでは届出できません」と判明し、多額の初期費用を無駄にしてしまうケースもあります。
今回は、不動産会社と行政書士では確認するポイントが異なる理由と、実際によくあるトラブルをご紹介します。
不動産会社の「営業できます」は何を意味しているのか

まず知っていただきたいのは、不動産会社が言う「営業できます」と、行政書士が確認する「営業できます」は意味が異なるということです。
不動産会社が確認しているのは、
- 飲食店として利用できる物件か
- オーナーが飲食店営業を認めているか
- テナント募集条件に合っているか
という点であることがほとんどです。
一方で、深夜酒類提供飲食店営業開始届では、
- 用途地域
- 構造設備
- 客室の見通し
- 照度
- 出入口の構造
- 客室面積
- 図面の内容
など、風営法上の基準を満たしているかが重要になります。
つまり、
「飲食店として営業できる物件」と「深夜酒類提供飲食店として届出できる物件」は必ずしも同じではありません。
行政書士は関係法令に基づいて、「深夜酒類提供飲食店として届出できる物件かどうか」を確認しているのです。
実際によくあるケース① 用途地域が対象外だった
特に多いのが、用途地域に関するトラブルです。
基本的に、住居系の用途地域では深夜営業は難しいと考えておくとよいでしょう。
特に大阪府では、大阪府生活環境の保全等に関する条例第98条により、一定の住居系用途地域では、飲食店の深夜営業そのものが制限されています。
具体的には、
- 第1種・第2種低層住居専用地域
- 第1種・第2種中高層住居専用地域
- 第1種・第2種住居地域
これらの地域では、原則として午前0時から午前6時まで飲食店営業を行うことができません。
これは、お酒を提供するバーや居酒屋だけでなく、酒類の提供を主たる目的としていない一般的な飲食店であっても適用される規制です。
不動産会社から「飲食店として営業できます」と説明を受けたとしても、それは通常の飲食店営業が可能という意味であり、深夜営業まで認められていることを意味するものではありません。
物件を契約する前に、深夜営業が可能な地域かどうかを必ず確認することが重要です。
実際によくあるケース② 居抜きだから大丈夫と思っていた

「前もバーだったから問題ないですよ。」
この説明も注意が必要です。
以前の店舗が、
- 飲食店営業のみ
- 深夜営業の届出済み
- 社交飲食店営業許可
- 特定遊興飲食店営業許可
のどれだったかは外からでは分かりません。
また、前の営業者が適法に営業していたとは限りません。
「前の店舗もやっていたから大丈夫」という理由だけで判断するのは非常に危険です。
実際によくあるケース③ 内装工事後に構造要件を満たさないことが判明
内装工事後に構造要件を満たしていないことが判明することもあります。
例えば、
- 客室の見通しが確保できない
- 客室の照度が基準を満たさない
- 客室面積が不足している
- 客室と厨房の区画方法が基準に合わない
などです。
照度や見通しに関する基準であれば、照明の変更やガラスへの交換など、比較的改善しやすい場合もあります。
しかし、客室面積の要件を満たしていない場合は、改善が非常に難しくなるケースが多くあります。
内装工事が完了した後では、壁の撤去や間取りの変更など、大掛かりな工事が必要になることもあります。また、テナント物件では、貸主からそのような改修工事の承諾を得られず、構造変更自体ができないケースも少なくありません。
深夜酒類提供飲食店営業を行うためには、風営法に定められた厳しい構造設備基準を満たす必要があります。
そのため、「工事が終わってから確認する」のではなく、契約前や内装工事に着手する前の段階で、届出が可能な構造になっているかを確認することが非常に重要です。
なぜこのようなことが起こるのか
もちろん、不動産会社が悪意を持って説明しているわけではありません。
不動産会社の専門分野は物件の仲介であり、風営法の届出要件まで詳細に確認することは通常の業務ではないからです。
一方、行政書士は風営法に基づき届出ができるかどうかを確認する立場です。
つまり、確認している法律も目的も異なるため、このような認識の違いが生まれるのです。
契約前の確認が最も重要

一度物件を契約してしまうと、
- 契約を解除できない
- 支払った初期費用が返金されない
- 内装工事費が無駄になってしまう
といったケースも少なくありません。
また、開業当初は通常の飲食店として営業し、売上が安定してから深夜営業を始めようと考えている方も注意が必要です。
飲食店営業許可と深夜酒類提供飲食店営業開始届は、それぞれ根拠となる法律が異なるため、求められる要件も異なります。
そのため、飲食店営業許可を取得して営業を開始できたとしても、後から深夜営業を行おうとした際に、用途地域や設備構造の基準を満たしておらず、深夜酒類提供飲食店営業開始届を提出できないケースもあります。
「今すぐ深夜営業を始める予定はないけれど、将来的には考えている」という場合でも、契約前の段階で、深夜酒類提供飲食店の届出要件を満たす物件かどうかを確認しておくことが重要です。
そのため、物件を契約する前に行政書士へ相談することが、最もリスクを減らす方法といえます。
物件の所在地や図面を事前に確認することで、深夜酒類提供飲食店営業開始届が可能かどうかを判断できるケースも多くあります。
大阪で深夜酒類提供飲食店営業開始届をご検討ならご相談ください
当事務所では、大阪府内の深夜酒類提供飲食店営業開始届の作成・届出代行を行っております。
物件を契約する前の段階から、
- 用途地域の確認
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届の届出可能性の調査
- 必要図面の作成
- 管轄警察署との事前相談
- 深夜酒類提供飲食店営業開始届一式の作成・提出
まで、一貫してサポートいたします。
また、「図面作成だけ依頼したい」という方から、「届出まで全て任せたい」という方まで、ご希望に応じたサポートが可能です。 お客様の状況に合わせて、図面作成のみのご依頼、またはフルサポートのいずれにも対応しております。
「契約してから相談すればいい」とお考えの方も少なくありませんが、実際には契約前のご相談が最も重要です。
契約後に「深夜酒類提供飲食店営業開始届ができない」と判明すると、初期費用や内装工事費が無駄になってしまう可能性もあります。
「この物件で深夜営業ができるだろうか?」「深夜酒類提供飲食店営業開始届の要件を満たしているだろうか?」と少しでも不安がありましたら、契約前にお気軽にご相談ください。




