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利用運送を一般貨物自動車運送事業者が行うためには

貨物利用運送事業

利用運送とは、他社からの依頼に応じるために自らが責任を負って、他の運送事業者を利用し荷物を運送することをいいます。

貨物利用運送事業を行うには、登録申請または許可申請が必要となります。

では、自社のトラックで運送事業を行っている一般貨物自動車運送事業者が、今後は他社にも委託して運送を行おうと考えた場合、同じように登録申請や許可申請が必要かというとそうではありません。

一般貨物自動車運送事業者が貨物利用運送事業を新たに始める場合、一般貨物自動車運送事業の事業計画変更認可申請が必要となります。

この記事では、利用運送の詳細や、一般貨物自動車運送事業者が利用運送を新たに始める場合について解説します。

利用運送とは

利用運送とは、正式には「貨物利用運送」といい、他社からの運送依頼に応じるため、自らが運送責任を負って、運賃及び料金を収受し、他の運送事業者を利用して行う貨物運送のことをいいます。

利用運送事業者は、顧客である荷主との間で運送契約を結び、他の運送事業者とも運送契約を結んで荷物を運送してもらいます。

つまり、自社でトラックなどの運送手段を持たずに荷主から荷物を預かり、外注で運送会社を使って荷物を運ぶという業態となります。

貨物利用運送事業では、運送の責任は利用貨物運送事業者が負うことになります。

貨物利用運送事業には、運送手段が1種類のみの第1種貨物利用運送事業と運送手段が複数の第2種貨物利用運送事業があります。

第1種貨物利用運送事業は登録制、第2種貨物利用運送事業は許可制となります。

第1種貨物利用運送事業においてトラックを使用して行うケースついて解説します。

利用運送と運送取次の違い

他事業者に運送を任せるとなると、運送取次と何が違うのかを疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

運送取次との違いは、依頼主(荷主)に対しての運送責任を誰が負うのかということです。

利用運送の場合、依頼主に対しての運送責任は貨物利用運送事業者が負います。運送取次は仕事を紹介するだけで、運送責任は負いません。

運送してほしい荷物をコンビニに持っていくことがありますが、これも運送取次の一つです。

荷物を運んで欲しい人(依頼主)は、実運送会社ではなくコンビニに荷物を持って行きます。コンビニは自社で荷物を運送するのではなく預かるだけで、ヤマト運輸や佐川急便などの運送会社がコンビニに集荷にいき運送することになります。

この場合、運送の責任は実運送会社が負うことになります。

運送取次のイメージ

運送取次事業は、以前は貨物運送取扱事業法(平成15年に貨物利用運送事業法に改正)で規定されており登録制でしたが、平成15年の改正により許可や登録などは不要になっています。

利用運送を始めるための要件

第1種貨物利用運送事業を始めるためには、国土交通大臣の行う登録を受けなければなりません。

登録を受けるためには下記の要件を満たす必要があります。

⚫︎事業遂行に必要な施設
⚫︎財産的基礎
⚫︎経営主体

事業遂行に必要な施設

    1. 使用権限のある営業所、店舗を有していること
    2. ①の営業所等が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと
    3. 保管施設を必要とする場合は、使用権限のある保管施設を有していること
    4. ③の保管施設が都市計画法等関係法令の規定に抵触しないこと
    5. ③の保管施設の規模、構造および設備が適切なものであること

貨物利用運送の業務遂行に必要な営業者や店舗には、設備要件や面積要件などは特にはありません。

財産的基礎

財産的基礎とは、純資産300万円以上を有していることを指します。

個人の場合は資産調書(預金など)で直近の純資産を証明し、法人であれば直近決算期時点の貸借対照表に記載されている純資産額で証明します。

経営主体

経営主体の要件とは、貨物利用運送事業法の欠格事由に該当しない者でないことを指します。

貨物利用運送事業法第6条

国土交通大臣は、第4条の規定による登録の申請をした者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を拒否しなければならない

1. 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者

2. 第1種貨物利用運送事業の登録又は第2種貨物利用運送事業の許可を取消しを受け、取消しの日から2年を経過しないもの

3. 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関して不正な行為をしたもの

4. 法人であって、その役員のうちに全3号のいずれかに該当する者のあるもの
(後略)

第1種貨物利用運送事業を始める場合、これらの欠格事由に該当していないことが要件となります。

第1種貨物利用運送の登録申請手続き

第1種貨物利用運送の新規登録申請は、申請書と各種添付書類を運輸局支局に提出する必要があります。

標準処理期間は2ヶ月〜3ヶ月となっていますので、登録申請してから事業を開始できるようになるまでに期間がかることに注意が必要です。

      申請に必要な添付書類

    1. 登録申請書
    2. 事業計画書
    3. 利用する運送事業者との運送委託契約書のコピー
    4. 宣誓書(都市計画法)
    5. 宣誓書(使用権限)
    6. 宣誓書(欠格事由に該当しない旨)
    7. 保管施設の図面(保管施設を設置する場合のみ)
    8. 保管施設に関する宣誓書(保管施設を設置する場合のみ)
既存法人の場合の追加資料

⚫︎ 定款
⚫︎ 履歴事項全部証明書(法人の謄本)
⚫︎ 直近の事業年度のける賃借対照表
⚫︎ 役員または社員の名簿
⚫︎ 役員または社員の履歴書

法人設立しようとする場合の追加資料

⚫︎ 定款または寄附行為の謄本
⚫︎ 発起人、社員または設立者の名簿および履歴書
⚫︎ 設立しようとする法人が株式会社である場合、株式の引受状況及び見込みを記載した書類

個人の場合の追加資料

⚫︎ 財産に関する調書
⚫︎ 戸籍抄本
⚫︎ 履歴書
⚫︎ 欠格事由に該当しない旨の宣誓書

一般貨物自動車運送事業者が利用貨物を始めるには

一般貨物自動車運送事業の許可を受けて事業を行っている事業者が利用貨物を新たに始める場合、登録申請ではなく一般貨物自動車運送事業の事業計画変更認可申請を行う必要があります。

利用運送追加のための事業計画変更認可申請に必要な書類は以下のものになります。

第1種貨物利用運送追加に必要な書類

⚫︎ 事業計画変更認可申請書
⚫︎ 運送委託契約書のコピー
⚫︎ 都市計画法等に抵触していないことの宣誓書(営業所が実運送事業の営業所と異なる場合)
⚫︎ 使用承諾書または賃貸借契約書(営業所が実運送事業の営業所と異なる場合)
⚫︎ 利用運送営業所の案内図・見取り図・平面図・写真
⚫︎ 保管施設の図面(保管施設を有する場合)

必要書類を準備し、管轄の運輸支局へ変更認可申請を行います。
利用貨物運送にかかる事業計画の変更認可の標準処理期間は1か月〜4ヶ月となっています。

申請書を出してから認可下りる(可否が出るまで)には期間がかかります。
利用運送を始めたい時期から計算して認可申請を行う必要があります。

利用の利用をするには登録申請が必要

一般貨物自動車運送事業者が、実運送会社に業務を委託する貨物利用運送を行う場合は、貨物利用運送事業者としての登録ではなく、一般貨物自動車運送事業の事業計画変更認可申請が必要となります。

しかし、一般貨物自動車運送事業者が貨物利用運送事業者(トラックを持っていない会社)と業務委託し運送を行う場合、貨物利用運送事業者として登録を行う必要がでてきます。

利用運送の例
利用運送の例2

このように、トラックを自社ではトラックを持たず、実運送会社に運送を委託する貨物利用運送事業者に運送を委託する場合、運送会社(一般貨物自動車運送事業者)も自社が第1種貨物利用運送事業者の登録を行う必要があります。

まとめ

貨物利用運送を始める場合には登録申請を行うことが必要ですが、すでに運送業を営んでいる事業者(一般貨物自動車運送事業者)が新たに貨物利用運送事業を始めたい場合は事業系計画変更認可申請が必要となります。

ただし、業務委託を行うのが貨物利用運送事業者であれば、一般貨物自動車運送事業者であっても貨物利用運送事業者として登録申請を行う日必要があります。

業務形態によって変わってきますので、事前に確認することが大切です。

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