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相続放棄はよく使われているのか?知っておくべきことを解説

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「相続放棄」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
『ゆくゆく自分に相続が生じた時に、相続放棄も一つの選択肢として持っておきたい』という方や、『今現在、相続放棄を考えている』という方もいらっしゃるかもしれません。

相続放棄をする方は年々増えています。司法統計年報によると、2020年の相続放棄の申述受理事件の新受件数は、23万4732件で、2016年が19万7656件であったのに対して、かなりの件数増えていることがわかります。

この記事では、相続放棄とはどういったものなのか、相続放棄はどのように手続きすれば良いのかを解説します。

この記事を読んで欲しい人

相続放棄とはどういうものかを知りたい方

 

目次
  1. 相続放棄とは
  2.                         
    1. 相続放棄をした後
    2. 相続放棄の効果
    3. 相続放棄した人がいた場合の相続税に関すること
                     
  3. 相続放棄を行う方法
  4. まとめ
  5.              

相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人が亡くなったことにより生じた相続の効果を、相続人が確定的に消滅させる行為です。

被相続人の預貯金や不動産などのプラスの財産、借金など負債のマイナスの財産、どちらも一切相続しないことになります。

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)

被相続人に借金などの負債があった場合や何らかの理由で相続をしたくない場合、相続放棄を検討することになります。

また、相続放棄した者の子は代襲相続をすることはできません。

例えば、被相続人Aさんの財産を、相続人Bさんが相続放棄をした場合、Bさんの子であるCさんは代襲相続することはできません。

相続放棄をした後

相続放棄をした場合は、後順位の相続人に対して相続放棄した旨を知らせる必要が生じる可能性があります。

その理由は、相続放棄の申述が受理された場合でも家庭裁判所から後順位の相続人に対して、『相続人になったこと』を通知することがないことと、相続放棄した人には、『後順位の相続人が亡くなった人の財産について管理を始められるようになるまで、その財産の管理を”自己の財産と同一の注意”をもって管理しなければならない』と定められているからです。

相続放棄の効果

相続放棄した者は、その相続に関して初めから相続人でなかったものとみなされます。

相続放棄の効果は絶対的であり、これを第三者保護の観点から制限する規定はありません。
ある相続人の相続放棄により、財産を相続することになった者は、権利の取得を誰に対しても、登記などの対抗要件を備えなくても主張することできます(最判昭42.1.20)



相続を放棄すれば、相続人は相続開始時に遡って相続財産を取得しなかったことになります。

相続放棄した人がいた場合の相続税に関すること

相続税には遺産に係る基礎控除というものがあります。
遺産に係る基礎控除額は次の計算式によって算出されます。

遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円✖️法定相続人の人数

計算式を見てもわかるように、法定相続人の人数が多い方が相続税の基礎控除が多くなることが分かります。

では、相続放棄をした法定相続人が居た場合はどうなるのでしょうか?

相続税の計算においては、相続の放棄をした人が居たとしても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の人数で計算します。

例えば、相続人が4人居て、そのうちの2人が相続放棄した場合であっても、相続税の計算では法定相続人の数は4人で計算することになります。

相続放棄を行う方法

相続放棄は、家庭裁判所への申述によらなければならず、それ以外の仕方で相続放棄の意思表示をしても、相続放棄の効力は生じません。

相続放棄の手続きは家庭裁判所で行う必要があります。
申立てに必要な書類は、申述人が亡くなった方の配偶者である場合は以下のものになります。

  1. 被相続人の住民票除票又は戸籍附票
  2. 申述人(放棄する方)の戸籍謄本
  3. 被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

申述に必要な書類は、申述する方が亡くなった方とどのような関係であるかで変わりますので、詳しくは裁判所のホームページをご確認ください。「相続放棄の申述(裁判所)

まとめ

相続放棄する方は年々増加傾向にあります。

亡くなった方に借金などの負債がある時もそうですが、空き家があるなど、被相続人の財産の管理を引き継いで行うことが困難な状況によって相続放棄をする方も多いようです。

相続放棄をするためには、『自己のために相続があったことを知った日から3ヶ月以内』に家庭裁判所に申述する必要があります。

相続問題とは突然にやってくることもあります。そうなったときに調査する時間や考える時間がないがために、誤った判断をすることがないよう準備することが大切です。

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