「秘密証書遺言」という言葉を聞いたことがある方も多いことでしょう。
しかし、どのような遺言の方法であるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
『秘密なのだから、こっそりと一人で作成するのではないか』と思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、意外と知られていない「秘密証書遺言」について解説します。
この記事を読んで欲しい人
秘密証書遺言について知りたい方
秘密証書遺言とは
秘密証書遺言とは、遺言者が遺言書に署名押印し、それを封書に入れて遺言書に押印したものと同一の印章で封印のうえ、その封書を公証人1人と証人2人の面前に提出、自分の遺言書であること及び遺言者の住所・氏名を述べ、公証人がそれを記載して、公証人と証人が封書に署名押印する遺言です。
簡単にいうと、秘密証書遺言は、遺言書の内容を誰にも知られることはなく、この遺言書は自分の遺言書で自分の真意であるという担保を確保できるというものです。
秘密証書遺言は、公証人1人と証人2人以上の立会いが必要
秘密証書遺言の成立要件
秘密証書遺言のやり方は民法970条で規定されています。
- 遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと
- 遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章(印鑑)をもってこれを封印すること
- 遺言者が、公証人1人及び証人2人以上の前に封書を提出し、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
- 公証人が、その証書を提出した日付及び遺言書の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印をおすこと。
秘密証書遺言のメリットとデメリット
秘密証書遺言のメリットは、「自筆証書遺言」と違い自署することが要件ではないため、自筆できない人でも作成できること、遺言内容を他人に知られることがない点にあります。
一方で、デメリットは、費用がかかることや検認手続きが必要なこと、遺言書が法律で定める方式でなければ無効になってしまうことなどが挙げられます。
費用は公証人手数料が11,000円必要となります。証人を2人以上手配しないといけないため、手間や時間もかかります。
公正証書遺言と違い、公証人の立会いがありますが、相続発生時には家庭裁判所の検認手続きが必要となりますので、相続発生時にも手間と時間がかかります。
メリット
- 遺言内容を知られることなく作成できる
- 自筆能力がなくても作成できる
- 公証人の認証を受けるため、偽造や改ざんを防止できる
デメリット
- 相続発生には検認手続きが必要
- 費用がかかる
- 紛失の恐れがある
- 無効になる恐れがある
秘密証書遺言は実際に利用される件数は少ない
まとめ
「秘密証書遺言」について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
秘密証書遺言は、他者に遺言内容を知られることなく遺言できるなどのメリットもある点、検認が必要であったり、費用がかかったりとデメリットがあります。
イメージとしては、「秘密証書遺言」は「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の中間のような存在です。
実際にはあまり利用されることのない遺言方式ですが、「公正証書遺言」や「自筆証書遺言」との違いをしっかりと理解できれば、遺言書を残そうと思ったときの選択が広がるかと思います。
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