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自筆証書遺言と公正証書遺言の違いを解説

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目次
  1. 遺言の効力
  2. 自筆証書遺言
    1. メリットとデメリット
  3. 公正証書遺言
    1. メリットとデメリット

遺言の効力


遺言は法定された方式に従わなければ、その効力を生じません。

民法では、遺言は法定相続に優先すると規定しています。特定の相続人に多く財産を残したかったり、世話になった知人に財産を譲りたかったりと、相続人以外の方に財産を残す場合に遺言書は必要となります。

では、『遺言があったら自由にどのようにでも遺産を分けられるか?』というと、決してそうではありません。
法定相続人(兄弟姉妹を除く)には遺留分という権利が認められており、遺留分を侵害する遺言が残されていた場合、遺留分権利者およびその承継人は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができます。これを遺留分侵害請求といいます。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者本人が遺言の全文、日付及び氏名を自署し、これに押印して完成させる遺言をいいます。
平成31年1月13日から、財産目録に関して自署が必要ないとされていますので、財産目録は印刷などでも可能となりました。ただし、その場合は、目録の全項に署名し、押印しなければなりません。

自筆証書遺言は、他の方式の遺言とは違い、証人や立会人などを要せず、もっとも簡易な方式の遺言です。それだけに偽造・変造の恐れが最も大きく、遺言の内容が遺言者の真意に出たものであるかを巡って紛争の生じやすい遺言方式であるので、全文を自署する必要があります。

メリットとデメリット

自筆証書遺言は、自筆能力があれば作成することができ、証人や立会人も必要ないため簡易に作成できるというメリットがあります。
一方で、遺言は要式行為であり、法定された方式に従わなければ無効なものとなる可能性があるほか、偽造や変造のリスクがあり、家庭裁判所での検認を必要とするというデメリットがあります。

自筆証書遺言の保管制度を利用した自筆証書遺言については、遺言書保管官が保管時に本人確認などを行うことから、家庭裁判所での検認は不要となります。
※家庭裁判所の検認は、遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。

「検認」とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

出典元:裁判所HP(https://www.courts.go.jp/saiban/)

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人が遺言者から口授された遺言の内容を公正証書の形式で作成する遺言をいいます。

基本的に公正証書の作成は公証役場で行われ、公正証書遺言の原本は作成した公証役場で20年間保管され、正本が遺言者に交付されます。

公正証書遺言の方式も民法で規定されています。

  • 証人2人以上の立ち会いがあること
  • 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
  • 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者および証人に読み聞かせ、または閲覧させること
  • 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承諾した後、各自がこれに署名し印を押すこと。
    ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその理由を付記して、署名に代えることができる
  • 公証人が、その証人は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと

以上の方法に従う必要があります。

※公証人の口授が要件とされていますが、口がきけない方については、通訳人の通訳または自署をもって口授に代えることができます。

メリットとデメリット

公正証書遺言は、公証人が作成する遺言のため、偽造・変造のリスクが低く、家庭裁判所での検認も必要としません。また公証人が作成しますので、遺言書の成立要件に欠けることがないというメリットがあります。

一方で、証人2人以上の立ち会いが必要ちなるほか、公証人に支払う費用がかかること、手続きの開始から完了までに時間がかかるというデメリットがあります。

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