一般貨物自動車運送事業の変更手続きを忘れるとどうなる?行政処分のリスクを解説

一般貨物自動車運送事業の変更手続きを忘れるとどうなる?行政処分のリスクを解説

一般貨物自動車運送事業の許可を取得した後、営業所や車庫、役員、車両などに変更があった場合、その内容に応じて変更認可申請や変更届などの手続きが必要になります。

しかし、長年運送業を続けていると、
「数年前に役員が変わったけど、変更届を出したか分からない」
「車庫を移転したときに手続きをしていなかった」
「車両を増やしたけど、届出が必要だと知らなかった」
といったケースもあります。

変更手続きをしていないからといって、直ちに一般貨物自動車運送事業の許可が取り消されるとは限りません。

一方で、必要な認可を受けずに事業計画を変更したり、必要な届出をしないまま事業を続けたりすると、監査などで法令違反として確認され、行政処分等の対象となる可能性があります。

この記事では、一般貨物自動車運送事業の変更手続きを忘れていた場合にどのような問題があるのか、行政処分のリスクとあわせて行政書士が解説します。

目次

一般貨物自動車運送事業は許可取得後も変更手続きが必要

一般貨物自動車運送事業は、一度許可を取得すれば、その後は自由に営業所や車庫などを変更できるわけではありません。

許可申請時には、営業所・車庫・休憩睡眠施設・事業用自動車などについて事業計画を定めています。

そのため、許可後にこれらの内容を変更するときは、変更内容に応じて事前に認可を受ける、事前に届け出る、変更後に届け出るなどの手続きが必要です。

例えば、一般貨物自動車運送事業の事業計画については、原則として変更認可が必要ですが、一定の変更については事前届出または事後届出とされています。

「会社の中では変更手続きが終わっているから大丈夫」というわけではなく、運送業許可についても必要な手続きを確認することが重要です。

変更手続きには「変更認可」と「変更届」がある

一般貨物自動車運送事業の変更手続きを考えるときに注意したいのが、すべての変更が同じ手続きではないことです。
大きく分けると、変更する前に認可を受けなければならないものと、変更前または変更後に届出を行うものがあります。

「認可」も「届出」も、同様に行政庁(運送業の場合は運輸局)に対して行うものですが、内容は大きく変わります。

認可とは、国や地方自治体が、事業者からの申請があったとき、ある一定の基準を満たしているのを認めることです。
申請後は、基準を満たしているかを審査されるため、認可が下りるまで一定の期間がかかります。

一方で、届出はというと、国や地方自治体に対して、一定の事項の通知をする行為をいいます。
認可のように、事前に申請が必要ということはありません。

変更認可が必要となるケース

一般貨物自動車運送事業において、認可が必要となる変更事項は次のものです。

  • 車庫の新設・移転・廃止
  • 営業所の新設・移転・廃止(最小行政区域内での移転は変更届出)
  • 事業用自動車の種別の変更
  • 貨物利用運送をする
  • 事業用自動車の数の変更(基本台数を下回る場合)
  • 運送約款の変更
  • 事業承継

例えば、一定の営業所・車庫・休憩睡眠施設などの変更は、事業計画変更認可の対象となります。
変更認可の場合は、基本的に「変更してから報告すればよい」という手続きではありません。

認可を受ける前に移転・変更して事業を行ってしまうと、事業計画変更認可違反となる可能性があります。

特に車庫や営業所を移転するときは注意が必要です。

事前の変更届出が必要となるケース

変更する前に届出を行わないといけないものには、次のものがあります。

  • 事業用自動車の数の変更
  • 休止・廃止

事後の変更届出が必要となるケース

変更する前に届出を行わないといけないものには、次のものがあります。

  • 最小行政区画内の営業所の移転
  • 運行管理者、整備管理者の選任・変更・解任
  • 貨物利用運送事業の登録事項等変更
  • 氏名または名称、住所の変更
  • 役員の変更

これらの変更事項は、変更後に届出を行う「事後届出」で対応できるものです。

同じ「変更届出」であっても必要な手続きや提出時期が異なるため、変更が発生したときは、まず事前届出なのか、事後届出なのかを確認する必要があります。

詳しい届出期限などについては、こちらの記事で解説しています。

一般貨物自動車運送事業の変更手続きを忘れるとどうなる?

必要な変更手続きを行わないまま事業を続けた場合、許可を受けている内容と実際の事業内容が一致しない状態になります。

例えば、

  • 許可を受けていない車庫を使用している
  • 認可前に営業所を移転している
  • 事業用自動車の増減に関する必要な届出をしていない
  • 役員変更などの必要な変更届を提出していない

といった状態です。

問題となるのは、単に「書類を出し忘れている」ということだけではありません。
変更内容によっては、貨物自動車運送事業法に基づく行政処分等につながる可能性があります。

変更手続きの未提出は行政処分等の対象になる可能性がある

国土交通省は、貨物自動車運送事業者に対して監査を実施し、法令違反が確認された場合には、その内容に応じて行政処分等を行っています。

行政処分等には、文書警告や車両使用停止・輸送施設の使用停止、事業停止、許可取消しなどがあります。
ただし、変更手続きを1件忘れただけで、必ず事業停止や許可取消しになるという意味ではありません。

実際の処分は、違反内容や違反の程度、ほかの法令違反の有無などによって異なります。
重要なのは、「変更届くらい出していなくても問題ない」と考えないことです。

実際に変更手続き違反を含む行政処分事例もある

国土交通省が公表している行政処分情報を見ると、一般貨物自動車運送事業者について、事業計画の変更に関する違反が監査で確認されている事例があります。

例えば、事業計画変更認可を受けずに車庫の位置や収容能力を変更していたことが違反として確認された事例があります。

また、各営業所に配置する事業用自動車の数について、必要な事前届出を行っていなかったことが違反として確認された事例もあります。

これらの事例では、点呼や運転者への指導監督など、ほかの違反とあわせて輸送施設の使用停止処分などが行われているケースもあります。

そのため、個々の公表事例について「変更手続きを忘れただけで○日車の処分になる」と単純に考えることはできません。

しかし、変更認可・変更届の手続き違反が、実際に監査で確認される法令違反の一つであることは理解しておく必要があります。

「変更認可を受けていない」と「変更届を忘れた」は違う

変更手続きの漏れについて、特に注意したいのが、「変更認可を受けずに変更してしまった場合」と「必要な変更届を提出していなかった場合」では、問題の性質が異なるという点です。

どちらも適切な手続きを行っていないことに変わりはありませんが、特に注意が必要なのが、本来、事前に認可を受けなければならない事項を、認可を受けずに変更してしまっているケースです。

変更認可を受けずに変更した場合

変更認可とは、変更する前に申請を行い、行政庁による審査を受けたうえで認可を得なければならない手続きです。

例えば、変更認可が必要となる車庫について、認可を受ける前に移転し、新しい車庫を使用しているようなケースが考えられます。

この場合は、単に「提出する書類を忘れていた」というだけではありません。
本来であれば認可を受けてから変更すべき事業計画を、認可を受けないまま変更して事業を行っている状態になります。

そのため、変更届の提出漏れと比べても、特に慎重な対応が必要です。

また、認可申請では、変更後の営業所や車庫などが一般貨物自動車運送事業の基準を満たしているか審査されます。

例えば、認可を受けずに車庫を移転してしまい、後から確認したところ、その車庫が許可基準を満たしていなかった場合には、単純に「今から申請すればよい」では済まない可能性があります。

国土交通省の行政処分情報でも、実際に事業計画の変更認可違反が監査で指摘され、他の違反とあわせて行政処分の対象となっている事例があります。

変更届を提出していない場合

一方、変更届の提出漏れは、本来は届出によって対応できる事項について、必要な届出を行っていない状態です。

例えば、事前届出が必要な変更であれば、定められた時期までに届出を行わず変更してしまった場合が該当します。

また、事後届出で対応できる事項についても、変更後であればいつ提出してもよいわけではありません。変更内容ごとに定められた期限・時期に届出を行う必要があります。

変更届を提出していない場合も法令上の問題となるため、「届出だから忘れていても問題ない」ということではありません。

ただし、変更認可が必要な事項を認可なしで変更しているケースと、届出事項について必要な届出をしていないケースとでは、手続き上の意味合いが異なります。

特に変更認可については、行政庁による事前の審査・認可を受けること自体が求められているため、認可前に営業所や車庫などを変更してしまわないよう注意が必要です。

過去の変更手続きができているか分からない場合

長く運送業を続けている会社では、
「昔の担当者が手続きをしていたので分からない」
「行政書士に依頼していたはずだが書類が残っていない」
「どこまで変更届を出しているのか把握できていない」
ということもあります。

特に、長年事業を続けている間に担当者が変わっていたり、複数の行政書士へ手続きを依頼していたりすると、過去の変更手続きをすべて把握できていないケースもあります。

このような場合は、現在の会社の状況と、運輸局・運輸支局へ届け出ている内容を照らし合わせ、手続きに漏れがないか確認することが重要です。

営業所・車庫・休憩睡眠施設・事業用自動車・役員のほか、運行管理者・整備管理者などについて、過去に変更がなかったか一つずつ整理してみましょう。

実際に弊所で一般貨物自動車運送事業の変更認可申請をご依頼いただいた事業者様について、手続きを進めるために過去の届出状況を確認したところ、以前に変更していた整備管理者の選任・変更に関する届出が提出されていなかったことが判明したケースがあります。

このように、現在行おうとしている変更手続きそのものには問題がなくても、過去の許認可関係を確認していく中で、以前の変更届が提出されていなかったことが分かる場合があります。

変更から何年も経過していると、「当時の担当者が手続きをしたと思っていた」「届出が必要だと知らなかった」など、会社側でも正確な状況を把握できていないことがあります。

そのため、「届出をしたか分からないから、そのままにしておく」のではなく、現在の事業実態と許認可上の内容にズレがないか確認することが大切です。

特に、営業所や車庫などの大きな変更だけでなく、役員、運行管理者、整備管理者など、事業を続ける中で発生した変更についても一度確認しておくとよいでしょう。

まとめ

一般貨物自動車運送事業では、許可取得後に事業内容を変更した場合、その内容に応じて変更認可や変更届などの手続きが必要です。

必要な手続きを行わないまま事業を続けていると、監査などで法令違反として確認され、行政処分等の対象となる可能性があります。

特に注意したいのが、「変更届を忘れていたケース」と「本来認可を受けるべき変更を認可前に行っていたケース」は同じではないという点です。

過去の変更手続きができているか分からない場合や、手続き漏れに気づいた場合は、そのまま放置せず、現在の許認可上の内容と事業実態を確認しましょう。

一般貨物自動車運送事業は、許可を取得して終わりではありません。

適切な変更手続きを行い、許可内容と実際の事業内容を一致させておくことが、安定して運送事業を続けていくうえで重要です。

過去の変更届ができているか不安な場合もご相談ください

一般貨物自動車運送事業を長く経営していると、過去の変更手続きについて分からなくなっていることも珍しくありません。

当事務所では、一般貨物自動車運送事業の変更認可・変更届についてご相談を承っております。

「数年前に役員を変更したが、届出をしたか分からない」
「営業所や車庫を移転しているが、必要な手続きができているか確認したい」
「昔の変更書類が見つからない」
「変更手続きを忘れていたことに最近気づいた」
といった場合もご相談ください。

現在の状況と過去の変更内容を整理し、必要となる手続きを確認いたします。

大阪府内は交通費無料、初回相談は無料です。

変更手続きの漏れに気づいた場合は、そのままにせず、早めに現在の状況を確認することをおすすめします。

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