一般貨物自動車運送事業|車庫移転時の変更認可手続きを解説

一般貨物自動車運送事業|車庫移転時の変更認可手続きを解説

一般貨物自動車運送事業の許可を取得した後、事業の拡大や賃貸借契約の終了などによって、トラックを保管する車庫を移転することがあります。

一般貨物自動車運送事業では、許可を取得した際の営業所や車庫などが「事業計画」として定められています。
そのため、自由に車庫を移転できるわけではありません。

原則として、新しい車庫へ移転する前に事業計画変更認可申請を行い、認可を受ける必要があります。

また、新しい車庫についても、一般貨物自動車運送事業の許可基準に適合していることが必要です。

この記事では、一般貨物自動車運送事業の車庫を移転するときに必要となる変更認可手続きや、新しい車庫で確認しておきたい要件について解説します。

目次

一般貨物自動車運送事業の車庫移転には変更認可が必要

一般貨物自動車運送事業では、営業所や車庫、休憩・睡眠施設などの位置や収容能力が事業計画として定められています。

貨物自動車運送事業法第9条第1項では、一般貨物自動車運送事業者が事業計画を変更しようとするときは、一定の届出事項を除いて国土交通大臣の認可を受けなければならないとされています。

近畿運輸局でも、自動車車庫の位置および収容能力の変更(新設・廃止を含む)は認可申請が必要な手続きとして案内されています。

したがって、
「今の車庫が手狭になったので広い場所へ移りたい」
「車庫の賃貸借契約が終了するので別の土地を借りたい」
「会社の近くに良い土地が見つかったので車庫を移したい」
といった場合でも、事業者の判断だけで車庫を移転することはできません。

同じ市内への車庫移転でも認可が必要

営業所の移転と混同しやすいので注意が必要です。

営業所の移転の場合、最小行政区内の移転については、変更認可ではなく届出として取り扱われる場合があります。

一方、車庫については「同じ市内だから届出だけでよい」という取扱いではありません。
例えば、大阪府堺市内で現在使用している車庫から、同じ堺市内にある別の土地へ車庫を移転する場合でも、原則として事業計画変更認可が必要です。

「近くへの移転だから手続きはいらないだろう」と判断しないよう注意しましょう。

移転先の車庫にも許可要件がある

変更認可申請では、単に新しい車庫の所在地を届け出ればよいわけではありません。
移転先の車庫について、一般貨物自動車運送事業の審査基準に適合しているか確認されます。

車庫の要件
  • 土地の要件
  • 広さの要件
  • 全面道路の要件
  • 営業所との距離要件
  • 使用権限

土地の要件

車庫として使用する土地についても、どこでも認められるわけではありません。
一般貨物自動車運送事業の車庫は、農地法や都市計画法などの関係法令に抵触していないことが必要です。

特に注意したいのが、「農地」と「市街化調整区域」です。

農地はそのまま車庫として使用できない

農地をそのまま運送業の車庫として使用することはできません。
ここで注意したいのが、農地かどうかは土地の登記簿謄本に記載されている地目、または見た目だけで判断されるわけではないということです。

農地法上の「農地」に該当するかどうかは、実際の土地の利用状況(現況)によって判断されます。

そのため、登記簿上の地目が「田」や「畑」となっている場合はもちろん、地目が「原野」などであっても、現況が農地であれば農地法の対象となる可能性があります。

車庫候補地が農地に該当する場合は、農地転用の可否などを確認する必要があります。

市街化調整区域でも車庫を設置できる場合がある

営業所とは異なり、市街化調整区域であることだけを理由に、平面の車庫が直ちに認められないわけではありません。

そのため、市街化調整区域内の土地であっても、他の要件を満たしていれば、運送業の車庫として使用できる場合があります。

ただし、屋根や建物を設置する場合には注意が必要です。
市街化調整区域は、原則として建築行為が制限されている区域です。

屋根付きの車庫や車庫に付随する建築物を設ける場合には、都市計画法上の許可が必要となったり、そもそも建築できなかったりすることがあります。

広さの要件

車庫には、所有する事業用自動車を適切に収容できるだけの広さが必要です。

具体的には、「車両と自動車車庫の境界」および「車両相互間」の間隔をそれぞれ50cm以上確保したうえで、計画する事業用自動車をすべて収容できることが求められます。

そのため、単純に「所有しているトラックが敷地内に収まればよい」というわけではありません。

例えば、複数台のトラックを駐車する場合には、車両同士の間隔だけでなく、車両と車庫の境界との間にも50cm以上の間隔を確保する必要があります。

特に、現在の車庫よりも狭い車庫へ移転する場合は注意が必要です。

敷地面積だけで判断するのではなく、現在保有しているすべての事業用自動車を実際に配置した場合に、必要な間隔を確保して収容できるかを事前に確認することが重要です。

車庫の面積に余裕がない場合には、車両の大きさを確認したうえで配置図を作成し、要件を満たしているか確認してから契約を進めることをおすすめします。

全面道路の要件

運送業の車庫は、「出入口の前面道路の幅員が車両制限令に適合し、かつ、交通安全上支障がないこと」が求められます。

なお、前面道路が国道の場合は、原則として車両制限令に適合しているものとして取り扱われます。

一般的に「運送業の車庫は前面道路の幅員が6.5m以上必要」といわれることがありますが、すべての車庫で一律に6.5m以上必要というわけではありません。

必要となる道路幅員は、使用する車両や道路の状況などによって異なります。
ただし、明らかに前面道路が狭い場合や、車庫への出入りに私道を通行する必要がある場合などは注意が必要です。

車庫を契約する前に、使用する車両が問題なく通行できる道路か確認しておきましょう。

車庫の全面道路に関しては、こちらの記事でも解説しています。

営業所との距離要件

車庫は、原則として営業所に併設することとされています。

営業所に併設できない場合には、営業所と車庫との距離について定められた基準を満たさなければなりません。

営業所から離れた場所へ車庫を移転する場合は、契約する前に営業所との距離を確認しておくことが重要です。

また、営業所と車庫が離れている場合には、両者が常時密接な連絡を取れる体制や、点呼等を確実に実施できる体制も求められます。

近畿運輸局の管轄である大阪府では、車庫と営業所の直線距離が10km以内とする地域と5kmとする地域に分かれます。

車庫と営業所の直線距離が5km以内の地域貝塚市・泉佐野市・泉南市・豊能郡・泉南郡及び南河内郡のうち太子町、 河南町及び千早赤坂村
車庫と営業所の直線距離が10km以内の地域上記以外の市区町村

使用権限

当然ですが、申請者がその土地を車庫として使用する権限を有している必要があります。
自己所有の土地であれば登記簿謄本等、借りる場合には賃貸借契約書などによって使用権原を確認します。

近畿運輸局の細部取扱では、借入の場合、認可後おおむね2年以上の使用権原を有することが求められています。

ここで注意したいのが、「2年以上」の考え方です。

単に契約締結日から2年間あればよいというわけではなく、認可を受ける時点から、おおむね2年以上の使用期間が残っている必要があります。

車庫移転に伴う事業計画変更認可申請の標準処理期間は1~3か月程度です。

そのため、契約期間を2年ちょうどにすると、審査中に契約期間が経過し、認可時点で2年間の使用期間を確保できなくなる可能性があります。審査期間も考慮して、余裕を持った契約期間を設定しておきましょう。

なお、契約期間が2年未満であっても、契約期間満了時に自動的に更新される契約であれば、使用権原を有するものとして取り扱われます。

一般貨物自動車運送事業の車庫移転の流れ

一般貨物自動車運送事業の車庫移転は、新しい車庫を決めてすぐに移転できるわけではありません。
基本的には、次の流れで手続きを進めます。

STEP
新しい車庫の候補地を探す

まずは、移転先となる車庫の候補地を探します。

営業所からの距離や必要な広さ、前面道路など、一般貨物自動車運送事業の車庫として使用できそうな土地か確認しながら探しましょう。

STEP
車庫の要件を確認する

候補地が見つかったら、車庫としての要件を満たしているか確認します。

主に、営業所との距離、土地の要件、車庫の広さ、前面道路、使用権原などを確認します。

賃貸物件の場合は、契約後に要件を満たしていないことが判明すると大きな負担となるため、できるだけ契約前に確認しておくことが重要です。

STEP
賃貸借契約を締結する

車庫の要件に問題がなければ、土地の賃貸借契約を締結します。
賃貸借契約書では、使用目的や契約期間なども確認しておきましょう。

変更認可申請では使用権原を確認するため、賃貸借契約書などの提出が必要となります。

STEP
事業計画変更認可申請を行う

必要書類を準備し、管轄の運輸支局へ事業計画変更認可申請を行います。

申請書のほか、車庫の位置図・平面図、賃貸借契約書など、変更内容に応じた書類を提出します。

申請後、書類の補正や追加資料の提出を求められることもあります。

STEP
変更認可を受ける

審査の結果、車庫の要件などに問題がなければ変更認可となります。

車庫移転の変更認可は事前に行う手続きですので、認可を受ける前に新しい車庫へ事業用車両を移転しないよう注意しましょう。

STEP
新しい車庫へ移転する

変更認可を受けた後、新しい車庫へ事業用車両を移転します。

これで車庫移転の変更認可手続きは完了です。

車庫の移転には審査期間も必要となるため、現在使用している車庫の契約終了などで移転期限が決まっている場合は、余裕を持って準備を始めることが重要です。

新しい車庫へ移転できるのは、事業計画変更認可申請を行い、認可を受けた後になります。

申請してから認可を受けるまでには一定の審査期間が必要となるため、すぐに新しい車庫へ移転できるわけではありません。
特に、現在使用している車庫の賃貸借契約終了に伴って移転する場合は注意が必要です。

審査期間を考慮せずに手続きを始めると、新しい車庫の認可を受ける前に、現在の車庫の賃貸借契約が終了してしまう可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、車庫の移転が決まったら、審査にかかる期間を考慮して余裕を持って準備を始めることが重要です。

車庫移転の変更認可に必要となる書類

具体的な添付書類は申請内容によって異なりますが、車庫移転の変更認可では一般的に次のような書類を準備します。

  • 事業計画変更認可申請書
  • 新旧対照表
  • 車庫付近の案内図
  • 営業所と車庫の位置関係が分かる図面
  • 車庫の平面図
  • 車両の収容状況を示す図面(求積図)
  • 車庫の写真
  • 使用権原を確認する書類
  • 関係法令に抵触しないことを確認する書類
  • 前面道路に関する書類

貨物自動車運送事業法施行規則第5条では、事業計画変更認可申請書に「変更しようとする事項」と「変更を必要とする理由」を記載し、事業計画の変更によって内容が変わる関係書類を添付することとされています。

車庫移転では図面作成や土地の調査が必要になるため、単純な変更届と比べて準備するものが多くなります。

車庫移転の変更認可にかかる期間

車庫を移転する場合には、スケジュールにも注意が必要です。

近畿運輸局が公表している一般貨物自動車運送事業の事業計画変更認可の標準処理期間は、運輸支局長等の権限に係るものは1~3か月、その他のものは1~4か月です。

なお、この期間には、申請書類の不備を補正するために必要となった期間などは含まれません。

当事務所での実務経験を踏まえると、車庫移転の変更認可については、申請から認可まで3~4か月程度は見込んでおくことをおすすめします。

そのため、「来月から新しい車庫を使いたい」と考えてから準備を始めても、希望する時期に間に合わない可能性があります。

特に、現在の車庫の賃貸借契約終了に伴って移転する必要がある場合には注意が必要です。

新しい車庫の認可を受ける前に現在の車庫の契約が終了してしまわないよう、審査期間を考慮し、余裕を持って手続きを進めることが重要です。

認可を受ける前に車庫を移転しない

車庫の位置変更は、原則として変更してから届け出る手続きではありません。

貨物自動車運送事業法第9条第1項に基づく「変更認可」ですので、認可を受ける前に新しい車庫へ移転して事業を行うことは避けなければなりません。

つまり、

車庫を探す

要件を確認する

変更認可申請を行う

認可を受ける

新しい車庫へ移転する

という順序で進めることが基本です。

特に、現在の車庫の賃貸借契約終了に伴って移転する場合は、早めの準備が重要です。

当事務所にも、「現在の車庫の契約終了が迫っている」「新しい車庫への移転予定日まで時間がない」といった段階でご相談をいただくことがあります。

しかし、車庫移転には候補地の要件確認や申請書類の準備に加えて、変更認可を受けるまでの審査期間も必要です。

そのため、行政書士などの専門家へ手続きを依頼する場合も、移転時期が迫ってからではなく、車庫の移転を検討し始めた段階や候補地が決まった段階で相談しておくと、その後の手続きを余裕を持って進めやすくなります。

移転予定日から逆算して、無理のないスケジュールで準備を進めることが、スムーズな車庫移転につながります。

大阪府で一般貨物自動車運送事業の車庫移転をご検討の方へ

一般貨物自動車運送事業の車庫移転では、変更認可申請書を作成するだけでなく、新しい車庫が許可要件を満たしているか確認することが重要です。

「この土地を車庫として使用できるのか分からない」
「営業所からの距離や前面道路に問題がないか確認したい」
「現在の車庫の契約の関係上、移転を検討している」
といった場合は、車庫の契約を進める前に専門家へ相談しておくと安心です。

当事務所では、大阪府内の一般貨物自動車運送事業に関する車庫移転の変更認可申請に対応しております。

車庫候補地の要件確認から申請書類・図面の作成、運輸支局への申請までサポートしておりますので、車庫移転をご検討の際はお気軽にご相談ください。

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