カフェなどで見かけるテラス席(屋外客席)は、おしゃれな雰囲気を演出するだけでなく、開放的で心地よい空間づくりにも役立ちます。
ただし、飲食店がテラス席を設置する際には、場合によっては保健所や警察への許可申請が必要になることがあります。
この記事では、飲食店が屋外客席を設ける際に知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。
テラス席を設けるときに確認すべき基本ルール
飲食店で「屋外テラス席」や「歩道沿いの客席」を設置する場合、店内と同様に飲食物を提供する営業行為として扱われます。
そのため、単に席を置くだけではなく、屋外客席設置の届出をする必要があります。
屋外客席に該当するもの
屋外客席に該当するのは、客に飲食させる目的で設置される「いす」「テーブル」「カウンター」などを指します。
立食形式のものも、屋外客席に含まれますので注意が必要です。
屋外客席の設置要件
屋外客席は以下の要件を満たす必要があります。
- 調理室または屋内客席に隣接していること
- 区画分けがされていること
- 屋内客席の席数・面積を超えないこと
- 屋外客席は、調理室または屋内客席に隣接している必要があります。ただし、道路占有許可を取得して設置する場合は隣接する必要はありません。
- 屋外客席は、一定の区画分けが必要となります。区画分けは柵などの他、植栽などでも可能です。
- 屋外客席は、屋内客席の席数を超えて設置することはできません。面積も同様に、屋内客席よりも広い屋外客席を設置することはできません。
公道や歩道を利用する場合は「道路占用許可」が必要
テラス席を歩道などの公道に設置する場合、道路法32条に基づき「道路占有許可」を取得する必要があります。
道路占用許可とは、電柱、ガス管、工事用足場などの工作物、物件、または施設を設置し、継続的に道路を使用する場合に必要となる許可のことです。
道路占有許可は、道路管理者(国土交通省・都道府県・市町村)に対して申請します。
通行の妨げとなる占有許可は下りませんので、通行の妨げにならないかどうかが審査のポイントとなります。
許可を取らずに設置した場合、撤去命令や罰則の対象になりますので、必ず許可を取る必要があります。
テラス席設置の申請の流れ
テラス席を設置するためには、以下の流れで手続きを行います。
まず行うべきは、その場所がどのような土地かを確認することです。
- 店舗敷地内(私有地)か
- 公道(歩道など)か
- 商業施設などの共有スペースか
この区分によって、必要な許可が大きく変わります。
設置場所が歩道や道路上にかかる場合は、
道路管理者(市役所や県土木事務所など)への占用許可申請が必要です。
保健所に屋外客席設置について相談します。
ここでは以下の点を確認します
- 現在の営業許可の範囲で屋外提供が可能か
- 新たに営業許可の「変更届」や「許可申請」が必要か
- 図面や設計上の注意点(調理室との動線、衛生区画など)
※自治体によっては「道路占用許可の写し」などが必要になるため、
占用許可との並行調整が必要な場合もあります。
保健所に提出する際には、通常以下のような平面図・配置図を求められます。
- 屋外席の位置関係(建物・道路・境界線など)
- テーブルやパラソルの配置
- 手洗い・厨房との動線
- 衛生設備の配置
これらの図面は、道路占用許可申請でもほぼ同様に使えるため、
両方の要件を満たす形で一度に作成するのがおすすめです。
相談内容に基づき、必要に応じて以下のいずれかを行います。
- 「営業許可の変更届出」
- 「新規営業許可の申請」
提出時には、
- 図面
- 道路占用許可書(必要な場合)
- 使用承諾書(私有地の場合)
などを添付します。
各自治体によって流れは多少異なりますが、基本的にはこの流れで手続きを進めていきます。
テラス席設置の申請に必要な書類
屋外客席を設置する届出に必要な書類は以下のものです。
- 営業許可申請書類または営業許可変更届
- 平面図
- 屋外客席営業設備の大要
- 営業所周辺の地図
- 屋外客席設置届(公有地などに屋外客席を設置する場合)
- 土地使用の同意書または許可書
- 申請者の本人確認書類(法人の場合は登記事項証明書)
道路占有許可が必要かどうかにより、保健所に提出する書類も変わってきます。
まとめ
屋外であればペット同伴のお客様へのサービスの提供もできるため、興味がある事業者様も多いのではないでしょうか。
しかし、屋外客席の設置は、集客効果や雰囲気づくりに優れる反面、法的な手続きや衛生面での注意が必要です。
- 屋外で飲食を提供する場合は、保健所の許可が必要になることがある
- 公道を使う場合は、道路占用許可が必須
- 安全・衛生・近隣への配慮も欠かせない
適切な手続きを行い、安全で快適な屋外空間を整備することで、お客様に安心して利用してもらえるお店づくりができます。
飲食店営業許可申請は行政書士にご相談を
飲食店営業許可の申請は、必要書類が多く、保健所との調整も発生するため、個人で行うと時間がかかることがあります。
行政書士に相談することで、正確でスムーズな申請手続きが可能になり、安心して開業準備に専念できます。
「手続きに不安がある」「忙しくて時間が取れない」と感じたら、ぜひ一度、行政書士にご相談ください。