開業前に要チェック!運送業の運行管理者・整備管理者の選任要件とは?

運行管理者と整備管理者

運送業を始めるにあたって、事業計画や車両の手配、営業所の確保などやるべきことは山ほどありますが、意外と見落とされがちなのが「運行管理者」と「整備管理者」の選任要件です。

これらの管理者は、運送業を安全・適正に運営するために不可欠な存在であり、選任しなければ営業許可も下りません。
この記事では、開業を検討している方が押さえておくべき運行管理者・整備管理者の役割や選任要件、具体的な手続きについて分かりやすく解説します。

目次

運行管理者とは?

運行管理者は、事業用自動車の運行に関する安全管理を担う責任者です。
運行管理者は営業所の事業車両の数により配置必要人数が変わります。事業車両の保有台数が29台までは1名、以降30台ごとに1名追加で選任が必要です。

運行管理者の具体的な業務は以下の通りです。

  • 運転者の点呼(出発前・帰着後)
  • 乗務割の作成と管理
  • 運転者の健康状態・運転適性の確認
  • 運行記録の作成と保管
  • 労働時間の管理(過労運転の防止)

要するに、「事故を起こさないための体制づくりと運用」を任される存在です。
重大な交通事故が発生した際には、運行管理者の管理体制が問われることもあります。

運行管理者の資格要件

運行管理者になるための方法は2つあります。

運行管理者試験に合格する

運行管理者になるためには、公益財団法人運行管理者試験センターが実施する運行管理者試験に合格することが一般的です。ただし、試験を受けるためには受験資格を満たす必要があります。

受験にはいずれかの要件を満たす必要があります
  • 運行管理に関して1年以上の実務経験を有する
  • 基礎講習を修了している

実務経験がない方は、受験前に基礎講習を受ける必要があります。
基礎講習は講習時間が3日間(16時間)あり、自動車学校などで受講することが可能です。受講料は8,900円(税込)となっています。

一定の事務経験があり講習を受けている

取得しようとする運行管理者資格者証の種類(一般乗合旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます。)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講している条件を満たすことで運行管理者になることができます。

運行の管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。

整備管理者とは

整備管理者は、事業用自動車の点検・整備に関する責任者です。
主な業務内容は以下のものがあります。

  • 日常点検・定期点検の計画と実施
  • 整備記録簿の作成と保管
  • 自動車車庫を管理する
  • 不具合がある車両の運行禁止措置

整備管理者は運行管理者のように保有車両台数によって必要人数が増えることはありません。使用の本拠地ごとに1名の選任が必要となります。

整備管理者の資格要件

整備管理者になるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

整備管理者の資格要件
  • 点検・整備または整備管理に関する2年以上の実務経験があり地方運輸局長が行う研修を修了すること
  • 一級、二級または三級の自動車整備士技能検定に合格した者であること

実務経験は整備管理を行おうとする自動車と同種類の自動車の点検・整備管理の経験が必要となります。

選任が必要なタイミングと人数

運行管理者・整備管理者ともに、事業開始時点で選任されていることが要件となっています。つまり、運送業の許可申請の際には、すでに適格な人物を選んでおく必要があります。

必要な人数

運行管理者:営業所ごとに1名以上。車両数が30台を超えるごとに1名追加で選任が必要です。運行管理者が2名以上になると統括管理者を決める必要があります。

整備管理者:自動車5台以上保有している場合、1名以上必要です。これは営業所単位ではなく、車両の配置場所単位(使用の本拠地ごと)です。

選任しないとどうなる?

運行管理者と整備管理者の選任しなければ運送業の新規許可は取得できません。
運行管理者や整備管理者の未選任・虚偽選任は、以下のような罰則対象になります。

  • 許可取消や業務停止処分
  • 罰金刑(貨物自動車運送事業法)

重大事故が発生した際に、管理体制の不備として行政処分が加重されるケースもあるため、運行管理者や整備管理者の選任・解任の届出は確実に行うことが必要です。

まとめ

運行管理者と整備管理者は、運送業を始めるにあたって「必ず」選任しなければならない法定の責任者です。
また、事業用車両の保有台数によって、選任すべき人数などの要件が定められています。

運行管理者は国家資格のため、試験の合格率も高いものではありません。
運行管理試験は年に2回しか実施されないため、事前準備が重要になってきます。

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