許可が下りない!?よくある不許可事例とその対策【運送業編】

運送業許可不許可事例

一般貨物自動車運送事業を始めるには、国土交通省の許可が必要です。しかし、申請を出せばすぐに通るわけではなく、「不許可」となるケースも少なくありません

この記事では、これから運送業を始めようとする方に向けて、許可が下りない主な理由とその対策をわかりやすく解説します。

目次

一般貨物自動車運送事業とは?

一般貨物自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものを言います。

いわゆる「緑ナンバー」で貨物を運ぶ事業者がこれに該当します。

この事業を始めるには、「道路運送法第3条」に基づく許可が必要であり、基準を満たしていないと申請しても許可が下りず、運送業を始めることはできません。

不許可になる主な原因

不許可の原因

以下では、よくある不許可事例を5つに分けて解説します。

営業所・車庫の要件を満たしていない

よくある不許可事例
  • 営業所や車庫で申請した土地が市街化調整区域であった
  • 賃貸契約書に「事務所使用不可」と記載されていた
  • 車庫が道路に面しておらず出入りに支障がある
  • 車庫の土地が農地であった
  • 賃貸借契約書の契約期間が2年以上なかった

営業所や車庫の申請でもっとも気をつけないといけないのが、その土地が「市街化調整区域かどうか」と、「用途地域はなにか」ということです。

営業所予定地が市街化調整区域であった場合、基本的には許可を得ることは難しいでしょう。車庫の予定地が市街化調整区域であった場合には、有蓋(屋根のある車庫)は認められません。

車庫の予定地が農地であった場合、農地の転用(農地を農地以外のものにすること)を行わなければなりません。
農地転用は申請すれば必ず認められるといったものではありませんし、土地が賃貸の場合、土地の所有者が行ってもらわなければならないので、調整に時間もかかってしまいます。

車庫や営業所の土地を賃貸する場合、賃貸借契約を締結する前に、「市街化調整区域かどうか」と、「用途地域はなにか」は確認することが必要です。

財産的基礎要件(資金)が不足している

一般貨物自動車運送事業の新規許可を受ける場合、資金計画表を提出しなければなりません。
資金計画表には以下の項目を記載する必要があります。

  • 人件費
  • 燃料費
  • 車両修繕費
  • 車両費
  • 施設購入費・使用料
  • 保険料

人件費は6ヶ月分を記載します。車庫や営業所が賃貸の場合は12ヶ月分の使用料を記載します。

これらの事業開始後に必要となるお金を試算し、その資金を持っているかを確認されます。
運転資金を持っている証明は残高証明を提出します。

自己資金の確認は2回行われます。
申請時に、事業開始に必要な資金の100%以上の自己資金を所持していることを証明するために「残高証明」を出しますが、審査中に2回目の確認が残高証明を出します。

2回目の残高証明時に所要資金を下回っていた場合、許可が下りません。
申請後は必要残高を下回らないようにする必要がありますので、額変動の少ない口座で申請することが懸命です。

運行管理者・整備管理者の確保ができていない

運行管理者・整備管理者は営業所ごとに最低でも1名の選任が必要です。
1営業所の車両台数が30台以上になる場合には2名の運行管理者を選任する必要があります。整備管理者は30台以上の車両台数であっても1名の選任で問題ありません。

整備管理者は外部委託をすることができませんので、自社で確保する必要があります。
運行管理者について外部委託禁止とする条文などはありませんが、運行管理者という業務から考えると外部委託は現実的ではありません。

運行管理者と整備管理者は兼任することが可能です。
しかし、運行管理者とドライバーを兼任することはできません。

申請者の人的要件を満たしていない(欠格事由)

一般貨物自動車運送事業の許可は誰もが取得できるものではありません。
貨物自動車運送事業法第5条に定められている欠格事由に該当する場合、許可を取得することはできません。

貨物自動車運送事業法第5条の要約
  • 1年以上の懲役または禁錮を受けて、刑の執行が終わってから5年経っていない
  • 一般貨物自動車運送事業の許可の取り消しを受けて5年経っていない
  • 法人であって、役員のいずれかが上記に該当する場合
  • 申請者が成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であり、その法定代理人が上記に該当する場合

ここでの成年者と同一の行為能力を有しない未成年者とは、「結婚していない未成年者」と「 法定代理人から営業の許可を受けていない未成年者」をいいます。

申請者本人や役員、実質的経営者も対象です。身辺調査や書類提出時に虚偽があると、後に許可取消や業務停止命令となることもあります。

書類不備や手続きミスによる不許可

一般貨物自動車運送事業の許可申請においては、多くの書類を提出する必要があります。
専門的な書類も多く、記載や提出漏れがあると、審査に時間を要することになります。

主な提出書類
  • 事業計画書
  • 運行管理・整備管理の体制
  • 必要資金全体表
  • 宣誓書
  • 営業所と車庫との直線距離がわかる地図
  • 車庫・営業所・休憩睡眠施設の周辺図
  • 車庫・営業所・休憩睡眠施設の見取り図
  • 車庫・営業所・休憩睡眠施設の使用権限書類
  • 車庫・営業所・休憩睡眠施設の写真
  • 幅員証明書
  • 車両の車検証や売買契約書
  • 定款・登記簿謄本(法人の場合)
  • 戸籍謄本(個人の場合)
  • 履歴書

他にも、「車庫の前面道路の使用承諾書」や「営業所や車庫の登記簿謄本」が必要になることがあります。
必要な書類も多く、記載項目も多いため、書類不備による再提出や再調整が必要になるケースがあります。

不許可となった場合のリスクと再申請について

不許可となると、再度一から申請のやり直しが必要です。
再申請にあたっては、前回の不許可理由を正確に把握し、改善策を講じる必要があります。

書類の記載ミスなど、簡易に修正が可能な内容であれば良いですが、「土地の要件を満たしていない」「人的要件を満たしていない」など、簡易に修正ができないものもあります。

許可要件をきっちりと把握し、申請することで不許可となるリスクを減らすことができ、万一、再申請が必要となったときにも的確な修正を行うことが可能です。

行政書士に依頼するメリット

運送業の許可申請は、単なる書類作成だけでなく、法的要件や地域調整など高度な知識が必要です。
以下のようなメリットがあります。

  • 要件に合った営業所・車庫選定のアドバイス
  • 書類作成から提出代行まで一括サポート
  • 不許可リスクを減らすための事前チェック
  • 申請後の運輸局対応も任せられる

運送業の許可を取得するには、「土地の要件」「人の要件」「車両数の要件」など、いろいろな要件をクリアする必要があります。

法令に精通した行政書士がサポートすることにより、結果的にコストとリスクを最小限に抑えれることが可能です。

まとめ

一般貨物運送事業の許可は、ビジネスのスタート地点です。
しかし、要件を満たさずに申請すると、時間も労力も無駄になりかねません。

不許可を避けるには

  • 要件をしっかり把握する
  • 書類の正確性と十分な資金を用意する
  • 経験ある専門家に相談する

当事務所では、運送業許可の申請支援を手がけております。
「これから運送業を始めたい」「どこから手を付けていいかわからない」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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