軽貨物運送事業を始めるために必要となる「黒ナンバー」。
当事務所にも、
「個人でも黒ナンバーは取れますか?」
「車がまだ納車されていなくても手続きできますか?」
「自宅を営業所にしても大丈夫ですか?」
といったお問い合わせをいただくことがあります。
黒ナンバーの取得自体は、一般貨物自動車運送事業のような「許可制」ではなく、必要な要件を満たし届出を行うことで取得することが可能です。
しかし、車両や営業所、車庫などについて一定の要件があるほか、2025年4月からは貨物軽自動車運送事業者に対する安全対策も強化されています。
そこでこの記事では、黒ナンバー取得についてよくある質問を10個にまとめて、行政書士がわかりやすく解説します。
質問① 個人事業主でも黒ナンバーを取得できますか?

はい。個人事業主でも黒ナンバーを取得できます。
貨物軽自動車運送事業を始めるために、法人を設立する必要はありません。
そのため、「まずは自分一人で軽貨物ドライバーとして独立したい」「副業から軽貨物運送事業を始めたい」といった場合でも、要件を満たして経営届出を行えば、個人で事業を始めることができます。
もちろん、株式会社や合同会社などの法人として黒ナンバーを取得することも可能です。
個人と法人では届出書の記載内容や準備する書類などに違いがありますので、自分の事業形態に合わせて準備しましょう。
質問② 黒ナンバー取得にはどのような書類が必要ですか?
初めて貨物軽自動車運送事業を始める場合、運輸支局では主に次のような書類を準備します。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 運賃料金設定届出書・運賃料金表
- 事業用自動車等連絡書
- 車検証または自動車検査証記録事項
- 新車の場合は完成検査証など車台番号を確認できる書類
運輸支局で経営届出を行った後は、事業用自動車等連絡書などを使用して、軽自動車検査協会で黒ナンバーへの変更手続きを行います。
また、2025年4月から安全対策が強化されていますので、単に経営届出書を提出すれば準備完了というわけではありません。
貨物軽自動車安全管理者に関する手続きなども含めて準備を進める必要があります。
質問③ 運賃表とはなんですか?運賃はどう決めれば良いのか?

貨物軽自動車運送事業を始める際には、自社で設定した運賃・料金を記載した「運賃料金表」を作成します。
大阪府で貨物軽自動車運送事業を始める場合、経営届出書や運賃料金設定届出書などの必要書類は、「大阪運輸支局のホームページ」からダウンロードすることができます。
大阪運輸支局では、運賃料金表について「見本を参考にご自身で作成ください」と案内しており、具体的な運賃料金表の見本も公開されています
ここで、「運賃はいくらにすればいいの?」「運輸支局の見本と同じ金額でも大丈夫?」と迷われる方も多いのではないでしょうか。
貨物軽自動車運送事業の運賃は、行政が一律に金額を決めているものではなく、事業者自身が設定します。
運賃の設定方法としては、たとえば、
- 走行距離に応じて設定する「距離制運賃」
- 運送に要する時間に応じて設定する「時間制運賃」
- 特定の荷主との継続的な運送など、実際の業務内容に応じた料金設定
などが考えられます。
大阪運輸支局が公開している見本にも、距離制運賃や時間制運賃のほか、待機時間料、積込料・取卸料、休日割増、深夜早朝割増などが記載されています。
では、運輸支局の見本と同じ内容・金額で作成してもよいのでしょうか。
実際にその運賃で事業を行う予定であれば、運輸支局の見本を参考にして運賃料金表を作成することは可能です。
ただし、見本の金額が「大阪府の軽貨物運賃の相場」というわけではありません。
実際にどの程度の運賃で仕事を受けるのかは、配送距離や拘束時間、荷物の内容、取引先との契約、車両費・燃料費などを踏まえて決める必要があります。
そのため、「特に独自の料金設定が決まっていないので、まずは運輸支局の見本を参考に運賃料金表を作成する」という方法は一つの選択肢ですが、実際の事業内容に合った料金設定になっているかも確認しておくとよいでしょう。
なお、設定した運賃や料金を後から変更することも可能です。その場合は、運賃・料金を変更した後30日以内に変更の届出を行う必要があります。
質問④ 自宅を営業所にして黒ナンバーを取得できますか?
自宅を営業所として届出することも可能です。
実際に、個人で軽貨物運送事業を始める場合、自宅を営業所として届出するケースは珍しくありません。
ただし、どのような住宅でも無条件で営業所として使用できるわけではありません。
例えば、賃貸マンションやアパートの場合には、賃貸借契約や管理規約などによって事業利用が禁止されている可能性があります。
また、公営住宅などについても事業所としての使用が認められない場合があります。
そのため、賃貸物件を営業所として使用する場合には、その物件を事業用として使用して問題がないか事前に確認しておくことが大切です。
質問⑤ 軽乗用車でも黒ナンバーを取得できますか?

はい。軽乗用車でも黒ナンバーを取得できます。
以前は、貨物軽自動車運送事業に使用する車両について、いわゆる軽貨物車が基本となっていました。
軽乗用車を黒ナンバーにする場合には、構造変更検査を受ける必要がありました。
しかし、2022年10月から取扱いが変更され、軽乗用車についても構造変更検査を受けることなく、貨物軽自動車運送事業に使用できるようになりました。
ただし、軽乗用車を使用する場合には積載できる重量に注意が必要です。
例えば4人乗りの軽乗用車に運転者1名だけが乗車する場合、積載可能な重量は165kgとされています。
宅配などで多くの荷物を運ぶ予定であれば、積載量を考慮して車両を選ぶことが重要です。
軽乗用車で黒ナンバーを取得することについては、こちらの記事でも解説しています。
質問⑥ 車がまだ納車されていなくても経営届出はできますか?
はい。車がまだ納車されていない場合でも、必要な情報を確認できる書類があれば、運輸支局へ経営届出を行うことができます。
貨物軽自動車運送事業の経営届出では、使用する車両について確認できる書類が必要です。
すでに車検証が交付されている車両であれば、車検証や自動車検査証記録事項を使用します。
一方、新車などでまだ車検証が交付されていない場合には、完成検査証などの車台番号を確認できる書類のほか、使用する車種が分かるカタログの諸元表などを用いて届出を行うことも可能です。
そのため、「軽バンを注文したけれど、まだ納車されていない」「納車まで時間がかかるので、先に黒ナンバーの手続きを進めたい」といった場合でも、納車まで待たなければ経営届出ができないとは限りません。
使用する車両が決まっているのであれば、販売店から必要な資料を入手するなどして、先に運輸支局への経営届出を進められる場合があります。
ただし、運輸支局への経営届出と、軽自動車検査協会で行う黒ナンバーへの変更手続きは別の手続きです。
納車前にどこまで手続きを進められるかは、車両の登録状況や用意できる書類によって異なるため、開業予定日が決まっている場合は早めに確認しておくとよいでしょう。
質問⑦ 安全管理者とはなんですか?個人事業主の場合どうすれば良い?

軽貨物運送事業における「安全管理者」とは、事故防止や安全運転の確保を目的として、安全管理体制を担う責任者のことを指します。
2025年4月、貨物軽自動車運送事業の安全対策強化を目的とした制度改正により、事業者には安全管理者の選任が義務付けられました。
2025年4月以降に軽貨物運送事業を始める場合、「貨物軽自動車運送事業の経営届出を行った後、速やかに安全管理者を選任しなければならない」とされています。
2025年3月までに軽貨物運送事業を開始している事業者は、「2027年の3月までに安全管理者の選任を行えば良い」という猶予期間が設けられています。
個人事業主として軽貨物運送事業を行う場合には、事業者本人が安全管理者としての役割を担うことになります。
したがって、事業者本人が貨物軽自動車安全管理者講習を受講し、安全管理者として選任届を行う必要があります。
安全管理者制度については、こちらの記事でも解説しています。
質問⑧ 黒ナンバーを取得したらすぐに仕事を始められますか?
黒ナンバーを取得したからといって、ナンバーの変更だけを済ませればすべての準備が完了するわけではありません。
特に注意したいのが、2025年4月から強化された貨物軽自動車運送事業者の安全対策です。
法改正により、貨物軽自動車安全管理者の選任・講習受講、業務記録の作成・保存、事故記録の保存など、新たな安全対策が義務付けられています。
一人で軽貨物運送事業を行う場合でも対象となり、自ら必要な安全対策を実施しなければなりません。
また、初任運転者等に該当する場合には適性診断についても確認が必要です。
そのため、これから開業する方は、「黒ナンバーを取得すること」だけでなく、「事業開始までに必要な安全対策を整えること」までをセットで考えることが重要です。
事業開始までに、「安全管理者の選任」「適性診断の受診」が必要になることを、あらかじめ準備しておきましょう。
質問⑨ 黒ナンバーで希望番号は取れますか?

2026年9月時点では、黒ナンバーで希望番号を取得することはできません。
自家用の軽自動車では、「1」「777」「8888」など、自分の好きな番号を選べる希望ナンバー制度があります。
しかし、貨物軽自動車運送事業で使用する事業用自動車(黒ナンバー)は、希望ナンバー制度の対象外です。
軽自動車検査協会のホームページでも、希望ナンバー制度について、「事業用自動車、レンタカー、駐留軍(ローマ字AまたはB)、小板ナンバーを除くすべての軽自動車」が対象と案内されています。
そのため、
「現在の黄色ナンバーで使用している番号を、黒ナンバーになってもそのまま使いたい」
「仕事用なので覚えやすい番号にしたい」
「会社に関係する数字を黒ナンバーに付けたい」
と考えていても、希望する4桁の番号を指定することはできません。
質問⑩ 黒ナンバーの取得は自分でもできますか?
はい。黒ナンバーの取得手続きを自分で行うこともできます。
黒ナンバーは許可申請ではなく届出ですので、必要な要件や書類を確認して準備すれば、ご自身で手続きを行うことも可能です。
一方で、
「営業所や車庫が要件を満たしているか分からない」
「運賃料金表の作り方が分からない」
「車両の納車に合わせて手続きを進めたい」
「平日に運輸支局へ行く時間がない」
「安全管理者の届出までまとめてお願いしたい」
といった場合には、行政書士へ手続きを依頼する方法もあります。
行政書士へ依頼する場合には、単に経営届出書を作成してもらえるのか、それとも運輸支局への提出や黒ナンバーへの変更、安全管理者に関する手続きまで対応してもらえるのか、どこまで代行してもらえるのかを確認しておくことが大切です。
まとめ
今回は、黒ナンバー取得についてよくある質問を10個紹介しました。
黒ナンバーは、個人事業主でも車両1台から取得することができ、自宅を営業所にして開業することも可能です。
また、2022年10月からは軽乗用車も貨物軽自動車運送事業に使用できるようになり、以前と比べて車両の選択肢も広がっています。
軽貨物運送事業を始めるためには、運輸支局で「貨物軽自動車運送事業経営届出」を出し、軽自動車検査協会で「黒ナンバーを取得」する必要があります。
さらに、2025年からは、安全管理者制度の理解も必要となります。
以前の黒ナンバー取得についての記事を見ると、「運輸支局へ届出をする」「軽自動車検査協会で黒ナンバーへ変更する」というところまでしか説明されていない場合があります。
しかし、現在は貨物軽自動車安全管理者の選任や講習受講をはじめ、事業者として対応しなければならない安全対策が増えています。
そのため、これから黒ナンバーを取得する場合は、最新の制度に沿って開業準備を進めることが重要です。
大阪府で黒ナンバー取得をご検討の方へ
黒ナンバーは、必要な要件や手続きを理解していれば、ご自身で取得することも可能です。
しかし、行政手続きを行なったことがない方には、書類の作成や安全管理者制度など不安に思われることも多々あるかと思います。
大阪で黒ナンバーを取得するには、寝屋川市にある運輸支局と、ナンバーを管轄する軽自動車検査協会での手続きが必要となります。
「平日に手続きへ行く時間がない」
「何度も行政機関へ行くのが難しい」
「必要書類に不備がないか心配」
「安全管理者の手続きも分からない」
という方は、ぜひ勝浦行政書士事務所にご相談ください。
代表行政書士自身も軽貨物運送の実務経験がありますので、これから軽貨物運送事業を始める方からのご相談にも対応しております。
「自分の場合は何から準備すればいい?」という段階でも、お気軽にご相談ください。






