一般貨物自動車運送事業を運営する中で、事業の規模拡大や運行計画の変更が必要になる場合があります。
こうした変更を行う際には、国土交通大臣の認可を受けなければならない事項(申請は管轄の運輸局に行います)があります。
このプロセスを理解し、スムーズに進めるためには、いくつかの重要なポイントを押さえることが重要です。
本記事では、一般貨物自動車運送事業の事業計画変更申請に関する重要項目について解説します。
事業計画変更申請が必要となるケース
一般貨物自動車運送事業を営む事業者が、事業計画の変更を行う際、どのような場合に事業計画変更申請が必要になるかを正確に理解しておくことが重要です。
変更を申請しなければならないケースを知ることで、事業の進行をスムーズにし、法的なトラブルを避けることができます。
事業計画の変更の申請には、「変更認可申請」と「変更届出」があります。
認可申請と届出の詳しい違いについては、過去記事にて解説していますので、ご興味のある方はご参考になさってください。
一般論ですが、「変更認可申請=要件が厳しい」、「変更届出=要件は厳しくない」と何となくイメージしていただければ大丈夫です。
事業計画変更認可申請が必要な代表的なケースは以下のものになります。
⚫︎営業所の新設・移転・廃止
⚫︎車庫の新設・移転・廃止
⚫︎事業用自動車の種別の変更
⚫︎貨物利用運送をする
⚫︎事業用自動車の数の変更(基本台数を下回る場合)
⚫︎運送約款の変更
営業所の新設・移転・廃止
事業規模の拡大や縮小を行う際、営業所の新設や移転、廃止が伴うケースがあります。
その場合には必ず事業計画の変更が必要になります。
営業所は土地の要件や使用権限の要件など、厳しい要件が定められているため、変更内容を申請し運輸局が審査して、認可が下りれば営業所の新設・移転・廃止が可能となります。
車庫の新設・移設・廃止
運送業の車庫には、土地の要件・全面道路の要件など、厳しい要件が設けられています。
営業所の新設などと同様に、車庫の新設・移設・廃止でも、変更内容を申請し、内容を審査した上で問題なければ認可がおります。
事業用自動車の種別の変更
運送業において、トラックの増減や入れ替えは日常的にあることですので、車両の増減は届出制となっています。
しかし、事業用自動車の種別の変更を痴合う場合、事業計画変更認可申請が必要となります。
事業用自動車の種別の変更とは、貨物自動車運送事業法施行規則に「霊きゅう自動車又は霊きゅう自動車以外の自動車の別をいう」と規定されています。
例えば、霊きゅう自動車を使用して事業を行っている事業車が、新たに事業において普通自動車を使用したい場合、変更認可申請が必要となります。
貨物利用運送をする
利用運送とは、正式には「貨物利用運送」といい、他社からの運送依頼に応じるため、自らが運送責任を負って、運賃及び料金を収受し、他の運送事業者を利用して行う貨物運送のことをいいます。
一般貨物自動車運送事業の事業所が新たに貨物利用運送を行う場合、事業計画変更認可申請が必要となります。
ただし、利用の利用(貨物利用運送事業者の業務委託をする場合)は事業計画変更認可申請ではなく、貨物利用事業者として登録を行う必要があります。
利用貨物については、こちらの記事で解説していますので、ご参考にしてください
申請に必要な書類と手続きの流れ
事業計画変更申請には、適切な書類の準備と正しい手続きが必要です。
不備があった場合、審査に時間がかかることや、最悪の場合、申請が却下されることもあります。
ここでは、申請に必要な主な書類と手続きの流れについて詳しく解説します。
申請に必要な書類
計画変更の認可を受けるためには、いくつかの書類が必要です。
ここでは、営業所の新設に必要な書類をご紹介します。
- 申請書(表紙)
- 変更・届出事項(別紙1−1)
- 変更・届出事項(別紙1−2)
- 車両配置計画表(別紙2)
- 自動車車庫の位置及び収容能力並びに増車後の車庫必要面積(別紙3)
- 事業用自動車の運行管理及び整備管理の体制(様式1−1)
- 事業計画を遂行するに足りる有資格者の運転者を確保する計画(様式1−2)
- 宣誓書(様式例1・様式例3)
- 営業所の使用権限を証明する書類
- 営業所から車庫までの距離がわかる地図
- 周辺案内図
- 建物平面求積図
- 営業所の写真
このように、多くの資料を用意する必要があります。
手続きの流れ
事業計画変更申請の手続きは、次のステップで進められます。
- 申請準備
- 必要な書類を揃え、内容に漏れがないか確認します。また、書類作成にあたっては専門家(行政書士など)に相談するのも一つの方法です。
- 申請提出
- 必要書類を準備したら、地方運輸局に申請を行います。申請は郵送や窓口での提出が基本です
- 審査
- 提出した書類が審査され、内容に問題がなければ認可が下ります。審査期間は内容によって異なりますが、一般的には1〜3ヶ月程度がかかることが多いです。
申請の審査ポイントと注意事項
申請が提出されると、地方運輸局で審査が行われます。
審査に通過するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、審査において特に重視されるポイントと、申請時に注意すべき事項について解説します。
適切な運行管理体制
運送業において、運行管理体制は最も重要な審査ポイントの一つです。
運行管理者の資格保持状況や、配置されている人数、さらにドライバーの労働時間が適切かどうかなども厳しくチェックされます。
ドライバーの勤務時間や休息時間の確保は、特に重要視される項目で、労働基準法や道路交通法に基づいて適正な管理がされていることを証明する書類が必要です。
安全対策の整備
安全管理体制の変更が伴う場合には、具体的な安全対策が講じられているかが審査されます。
たとえば、新たな運行ルートにおいて、交通事故のリスクを低減するための安全対策が十分であるか、ドライバーに対する安全教育が適切に行われているかといった点が評価されます。
また、事業所の位置や設備が安全に運行できる条件を満たしているかも重要です。例えば、新たに設置する営業所の場所が適切な場所にあるか、駐車スペースの確保ができているかも確認されます。
法令遵守の状況
運送業者としての法令遵守状況も、審査における重要な要素です。
過去に交通違反や労働基準法違反などがないか、また過去の行政処分歴がある場合、それが改善されているかどうかがチェックされます。
まとめ
一般貨物自動車運送業の計画変更申請は、事業の拡大や変更を行う際には避けて通れない重要な手続きです。
事業の円滑な運営のためには、変更が必要なケースを正しく理解し、適切な書類を揃えてスムーズな申請を行うことが求められます。
また、運行管理体制や安全管理の強化、法令遵守の徹底も審査の重要なポイントとなるため、事前に十分な準備を行い、正確な情報をもとに計画変更を申請することが成功の鍵となります。
一般貨物自動車運送事業の許認可申請代行のお問い合わせ
勝浦行政書士事務所では、一般貨物自動車運送事業の許認可申請代行を行なっております。
運行車の車両数の変更・車庫の拡大・車庫の移転・営業所の移転など、事業計画変更認可申請が必要なケースは多々あります。
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