相続手続きを行う上で、遺言書がなければ遺産分割協議書が必要になります。
しかし、遺産分割協議を行いたくても遺産分割協議に参加できない相続人が居る場合はどうすればよいのでしょうか。
この記事では、遺産分割協議に参加できない相続人が居る3つのケースにおいて、どのように対応すれば良いかを解説します。
『遺産分割協議に参加できない相続人が居て困っている』『今現在、連絡が取れない親族が居る』など、苦境や不安の状態にある方の参考になれば幸いです。
この記事を読んで欲しい人
遺産分割協議に参加できない人が居て困っている方
所在不明の相続人が居る場合
所在不明や連絡が全く取れない相続人が居る場合、『その相続人を放っておいてその他の相続人だけで遺産分割協議を行なって良い』というわけではありません。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、相続人の一部を欠いた遺産分割協議は無効になります。
所在不明の相続人が居る場合でも、その相続人を除いて遺産分割協議をすることはできず、利害関係人は行方不明者のために、その者の最後の住所地の家庭裁判所に不在者の財産管理人の申し立てを行う必要があります。
選任された不在者財産管理人が不在者の法定代理人として、遺産分割協議に参加することとなります。
所在者不明の相続人が居る場合は、不在者財産管理人の申し立てが必要
海外に住んでいる相続人が居る場合
預貯金の解約や不動産の登記など、相続手続きを行う場面では、「遺産分割協議書」と「印鑑証明書」の提出を求められることがあります。
印鑑証明書や住民票は、住所登録をしている役所で取得することが可能ですが、海外に居住している人の場合、住民登録がないため「印鑑証明書」の用意ができません。
そこで必要となるのが、現地の日本国大使館や領事館で取得することができる「サイン証明」です。
外国に居住している日本国籍の相続人が遺産分割協議に参加できない場合、必要書類を日本から送付し、署名を求め、現地の日本大使館などでサイン証明を受けて返送してもらう必要があります。
サイン証明とは
サイン証明とは、サイン(署名)が真正のものであることを特定の機関が証明する際の証明書のことです。
日本での印鑑証明に代わるものとして、本人の署名(および拇印)であることに間違いないことを証明します。日本での不動産登記、銀行ローン、自動車名義変更等に使われるものであります。
外国に住んでいる相続人が居る場合、サイン証明を取得する必要がある
相続人に認知症の方が居る場合
認知症の方が相続人の中に居る場合、その相続人に意思能力が無ければ、遺産分割協議に参加することはできません。
遺産分割協議は法律行為となり、意思能力を持たない方の法律行為は無効となるからです。
法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
民法3条の2
認知症により意思能力がない相続人の場合、代理人(成年後見人)を立てて、代理人が遺産分割協議に参加する必要があるケースもあります。
認知症の方が相続人にいた場合、『どの程度の認知症の症状であれば遺産分割協議に参加できないか』というのは明確な基準はありません。
しかし、意思能力・判断能力がない方が参加した遺産分割協議は無効となりますので、認知症の方が居る場合は専門家の判断を仰ぐことが重要です。
認知症の相続人が居る場合、成年後見制度利用の検討が必要な可能性もあり
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では遺産分割協議に参加できない相続人が居る3つのケースについて対応策を解説してきました。
重要なことは、遺産分割協議は共同相続人全員で行う必要があるということです。
一部の相続人が参加できない場合、何らかの対応をしなくてはなりません。
せっかく作った遺産分割協議書が無効なものとならないよう、また、親族間で後々争いにならないように、専門家に相談することもご検討ください。
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