低照度飲食店に該当するのはどんな店?照度基準・必要手続きまとめ

低照度飲食店に該当するのはどんな店?照度基準・必要手続きまとめ

バー・ラウンジ・ダイニングバーなど、薄暗い空間で雰囲気づくりをする飲食店は多くあります。
しかし、店内の照度(明るさ)が一定基準を下回る場合、風営法上の「低照度飲食店営業」に該当する可能性があることをご存じでしょうか?

低照度飲食店に該当すると、通常の飲食店営業許可(食品衛生法)だけでなく、公安委員会の許可(風俗営業の一類型)が必要となります。

この記事では、

  • 低照度飲食店の定義
  • 照度の具体的な基準
  • 営業許可を取得せずに営業した場合
  • 必要な許可手続き

を行政書士がわかりやすく解説します。

目次

低照度飲食店とは?法的な定義

低照度飲食店とは、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)2条1項で定義されている「風俗営業」の一つです。

風営法2条1項の2号で定義されていることから、「2号営業」とも呼ばれています。

低照度飲食店に該当するのは以下の通りです。

低照度飲食店に該当する要件
  • 営業所内の照度が10ルクス以下
  • 接待行為を伴わない
  • 飲食を提供する営業

つまり、barなどの「暗い店内で飲食を提供するお店」が対象となる法律です。
店内の照度は、風営法の規制で5ルクス以下にはできないため店内の明るさが6ルクス以上10ルクス以下のお店が対象となることになります。

低照度飲食店を始めるためには、当然ですが、「飲食店営業許可」が必要となります。

低照度飲食店の照度基準|10ルクス以下とは

10ルクスというのは「かなり暗い」というレベルです。

10ルクスの暗さのレベル
  • ろうそくの明かり
  • 上演前の映画館内の明るさ
  • メニューの文字が読みにくいレベル

低照度飲食店の営業許可を取得するには、
「店内が本当に10ルクス以下である(5ルクスを超えている)」ことを数値で証明しなければなりません。

そのため、申請時には必ず照度計で測定し、基準を満たしているか確認することが求められます。

明るさを測定する位置は、「客席に食卓その他の飲食物を置く設備がある営業所については、当該設備の上面及び当該上面の高さにおける客の通常利用する部分」と定められていますので、どこで測っても良いというわけではありません。

測定位置の例

低照度飲食店の許可を取らずに営業すると?

無許可営業の罰則

風営法の無許可営業には厳しい罰則が設けられています。
さらに、令和7年の風営法の改正により、無許可営業による罰則は強化されました。

無許可営業等の罰則
  • 個人の場合 5年以下の拘禁刑 1000万円以下の罰金
  • 法人の場合 3億円以下の罰金

意図的に無許可営業を行うのは論外として、特に注意すべきなのは 「知らないうちに無許可営業になってしまうケース」 です。

たとえば、店内の照明を暗くして雰囲気を演出している飲食店でも、照度基準を下回ると風俗営業法の対象になる場合があります。
この知識がないまま営業を続けてしまうと、本人の意図に関わらず 風営法違反となってしまう可能性があります。

低照度飲食店を始めるときの必要手続き

低照度飲食店を始めるときの必要手続き

低照度飲食店を始めるために必要なステップは以下の通りです。

STEP
飲食店営業許可の取得
STEP
風営法の要件を満たしているかの確認
STEP
風俗営業許可の取得

「低照度飲食店」として営業する場合は、通常の飲食店営業許可だけでなく、風俗営業許可の取得が必要になります。

どの許可申請にも共通しますが、まずは関係法令を正確に理解しておくことが欠かせません。
特に風俗営業許可の場合、風営法だけでなく、都道府県条例や都道府県公安委員会規則も確認する必要があります。

なぜなら、営業可能な地域の区分や、保全対象施設(学校・病院図書館など)との必要距離が、都道府県ごとに異なるためです。
そのため、開業場所を決める段階から、これらの法令や規則をしっかり把握しておくことが重要になります。

申請に必要な書類

低照度飲食店(風営法2号営業許可)の申請に必要な種類は以下の通りです。

  • 許可申請書(その1・その2A)
  • 営業の方法(その1・その2A)
  • 誓約書(欠格事由に該当しない旨)
  • 誓約書(誠実に業務を行う旨)
  • 身分証明書(申請者・管理者。法人の場合は役員全員分必要)
  • 住民票
  • 賃貸借契約書
  • 使用承諾書
  • 建物の登記簿謄本
  • 用途地域を証明する書類
  • 営業所周辺の概略図
  • 1階概略図・入居階概略図(テナントビルの場合)
  • 営業所の平面図
  • 求積図
  • 照明・音響・防音設備の配置図
  • 求積図
  • 定款・登記事項証明書(法人の場合)
  • 管理者の顔写真

風俗営業許可の申請では、図面の作成に最も時間と労力がかかると言われています。
求められる図面は非常に精密であるため、実測の方法や図面作成の基本知識が欠かせません。

さらに、低照度飲食店の場合は 照度測定の結果も申請の重要要素 になります。
照度はテーブルや椅子の高さ、配置によっても変動するため、正確で再現性のある測定 が求められます。

風俗営業許可申請の流れ

風俗営業許可の申請は以下の流れで行います。

STEP
物件の選定
STEP
保全対象施設・用途地域の確認
STEP
営業所の計測・図面の作成
STEP
飲食店営業許可の申請
STEP
保健所による現地検査
STEP
飲食店営業許可の取得
STEP
風俗営業許可の申請
STEP
構造検査
STEP
風俗営業許可の取得・営業開始

まず始めに、開業予定地の店舗が風営法等の土地要件に該当しているのかを確認します。
風営法や都道府県条例の要件を満たしていれば、風俗営業許可の申請に必要な書類や図面の作成と同時に、「飲食店営業許可」の申請手続きを進めます。

保全対象施設や用途地域の要件を満たしていなければ、風俗営業許可は下りませんので、物件を探すことからやり直しになります。

したがって、無駄な予算や手間をかけないため、物件の契約前に専門家に相談することも大切でしょう。

暗い雰囲気のお店は必ず照度チェックを

店内の明るさによっては、通常の「飲食店営業許可」だけでは営業できず、「風俗営業の2号営業許可」が必要になる場合があります。この点を知らずに営業を始めてしまうと、意図せず無許可営業に該当してしまう恐れがあります。

低照度飲食店は、
店内の明るさが「10ルクス以下」
というシンプルな基準だけで風営法の対象になります。

特に、雰囲気を重視したバーやラウンジでは、照明を落とした結果、知らないうちに基準を下回ってしまうケースが非常に多いのが実情です。そのため、開業前に必ず照度測定を行うことが重要です。

少しでも不安がある場合は、専門家に相談いただくことで、要件の確認から図面作成・許可申請までスムーズに進められます。
「準備に不安がある」「失敗したくない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。開業まで安心して進められるよう丁寧にサポートいたします。

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