軽貨物運送事業とは、正式には「貨物軽自動車運送事業」と言い、軽自動車や125ccを超える二輪自動車を使用して、他人の需要に応じ有償で荷物を運ぶ事業をいいます。
この法律において、「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じて、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る)を使用して貨物を運送する事業をいう(貨物自動車運送事業法第2条第4項)
他人の需要に応じるため、有償で荷物を運ぶことは事業になるので、事業用ナンバー(軽自動車は黒ナンバー・二輪自動車は緑ナンバー)の車両で行わなければならないということです。
逆に言えば、『有償ではなく無償で荷物を運ぶ』『自社の荷物を他の店舗に運ぶ(他人の需要ではない)』や『125cc未満の二輪自動車を使用する(原付など)』は軽貨物運送事業には当たらず、黒ナンバーを取得する必要はないということになります。
この記事では、軽貨物運送事業について詳しく解説するとともに、黒ナンバーについても解説します。
黒ナンバーの車両が必要となる具体的なケース
では、具体的にはどういったケースが軽貨物運送事業に当たり、黒ナンバーを取得しないと行えないのでしょうか。
黒ナンバーが必要な具体例をいくつか挙げてみます。
- Ubereatsや出前館などを軽自動車や125ccを超えるバイクで始める
- Amazonフレックスなどの宅配を軽自動車で始める
- 軽貨物車で引越し業務を始める
- 友人の引っ越しの手伝いで有償で荷物を運ぶ
このように、荷物を運ぶことによって報酬を得る場合には事業用ナンバーが必要となります。
「友人の引越しの手伝いを自家車(白ナンバーの車)で行う場合、対価を受けても問題ないんじゃない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、友人の手伝いであっても、有償で自家用車(白ナンバー)を使用して荷物を運ぶのであれば、有償運送許可を受ける必要があります。
有償運送許可を受けない場合、他人の需要に応じて(他人の荷物を)有償で(対価を得て)運ぶには、事業用ナンバーの車両でなければいけません。
125ccを超えるバイクとは
125ccを超えるバイクとは、排気量125ccのバイクは含まれません。126cc以上のバイクが対象となります。
道路交通法によるバイクの区分では、50ccまでが原動付自転車、125ccまでが普通自動二輪車(小型限定)となっています。
126cc以上のバイクは普通自動二輪車になりますので、運転するには、一般的にいわれる中型免許が必要となります。
貨物軽自動車運送事業の対象とならないバイクは、原付・黄色ナンバー(51cc~90cc)・ピンクナンバー(91cc~125cc)となります。
軽乗用車でも軽貨物運送事業は始められる
「貨物軽自動車運送事業」という言葉から軽乗用車では軽貨物運送はできないと思われるかもしれません。
また、2022年までは軽乗用車で軽貨物運送を始めたい場合、軽自動車検査協会に相談の上、貨物用途として構造変更の届出を行い合格する必要があったので、そのイメージがある方も多いことでしょう。
しかし、2022年10月27日以降、構造変更の届出がなくとも、軽乗用車でも事業用ナンバー取得の届出を行うことができるようになりました。
したがって、軽乗用車でも黒ナンバーを取得し「貨物軽自動車運送事業」を行うことができますが、貨物軽自動車と違い軽乗用車の場合、多くの荷物を積むことができません。
積載できる貨物の重量は、乗車定員数から乗車人数を控除した数に55を乗じた重量以内とすること
という規定があります。
仮にドライバー1人だとして
となります。
軽貨物自動車の最大積載量(乗車定員2名まで)が350キロであるので、軽乗用車の場合、軽貨物車の半分の重量も積めないことに注意が必要です。
軽乗用車においての軽貨物運送事業については、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
軽貨物運送事業を始めるためにはどうすれば良いのか
「貨物軽自動車運送事業」は「貨物自動車運送事業」とは違い、許可制ではなく届出制となっています。
一般貨物自動車運送事業では、「人の要件」「場所の要件」「車両の要件」「資金の要件」など、クリアしないといけないハードルが多くありますが、軽貨物運送を始める場合、「場所の要件」と「車両の要件」を満たせば始めることができます。
軽貨物運送の車両要件
先ほどの説明のように、「軽貨物車」「軽乗用車」「125ccを超えるバイク」のいずれかが必要となります。
一般貨物自動車運送事業を始めるためには、車両が5台以上必要となりますが、貨物軽自動車運送事業は車両1台あれば始めることができます。
当然、事業用ナンバーを取得しなければ、有償で荷物を運ぶことができませんので、事業用ナンバー(黒ナンバー)を取得する必要があります。
場所の要件
軽貨物運送を始めるには車両の他にも、「営業所」・「車庫」・「休憩室」が必要となります。
車庫に関しては、都市計画法や建築基準法・農地法に抵触しないことが必要となります。
また、営業所と車庫が隣接していない場合、車庫は営業所から直線距離で2km以内に確保する必要があります。
一般貨物自動車運送事業のように、土地の使用権限や関係法令に抵触しない証明書類を届出の際に提出する必要はありませんが、宣誓書にて宣誓が必要となります。
自家用車(白ナンバー)で運送業を行ったらどうなるのか
自家用車(白ナンバー)で運送業を行った場合、貨物自動車運送事業法に違反し、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。
ただし、刑罰を科せられるのは、荷物を輸送した側のみであり、荷主側は刑罰の対象にはなりません。
白ナンバーで、他人の荷物を有償で運ぶことは刑罰の対象となりますので、絶対に行ってはいけません。
黒ナンバーの取得方法
軽貨物運送事業を行うためには、「事業用ナンバー」を取得する必要があります。
一般の軽自動車は黄色の下地に黒色の文字ですが、事業用ナンバーは黒色の下地に黄色の文字となるため、一般的に「黒ナンバー」と呼ばれています。
黒ナンバーを取得するためには、まずは管轄の運輸支局で経営届出書等の必要書類を提出する必要があります。
必要書類や内容に不備がなければ、運輸支局のゴム印を押された事業用自動車等連絡書が返却されますので、事業用自動車等連絡書・ナンバープレート・車検証原本を持って管轄の軽自動車検査協会でナンバープレート変更手続きを行います。
大阪府での黒ナンバー取得は以下の流れで行います
大阪府の運輸支局は寝屋川市にあります。
軽自動車検査協会は、ナンバーによって管轄が変わります。
大阪府で黒ナンバーを取得する方法は、こちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。
大阪府での黒ナンバー取得申請代行は勝浦行政書士事務所にお任せ下さい
勝浦行政書士事務所では、軽貨物運送事業用ナンバー(黒ナンバー)の取得申請代行を行なっております。
大阪府では、「和泉ナンバー」であっても、「堺ナンバー」であっても「なにわナンバー」でも「大阪ナンバー」でも寝屋川市にある運輸支局での手続きが必ず必要になります。
運輸支局での手続き後は、それぞれのナンバーを管轄する軽自動車検査協会での手続きも必要となり、書類の準備から手続きにかかる時間は大変なものになります。
煩雑な書類手続きが不安の方や平日に時間が取れない方はご相談ください。
大阪府内であれば出張料金無料です。
当事務所代表行政書士は軽貨物運送事業の経験者です。
『軽貨物事業を始めたい』『軽貨物事業に興味がある』だけど不安もいっぱいという方は、軽貨物運送事業についてもアドバイスいたします。ぜひお気軽にご相談ください。