「軽貨物運送事業を始めたいけれど、何から準備すれば良いのか分からない…」という方は多いのではないでしょうか。
本記事では、軽貨物運送事業の開業までの流れとスケジュール、さらに注意点についてわかりやすく解説します。
行政書士として数多くの手続きをサポートしてきた立場から、スムーズに開業できるためのポイントもお伝えします。
軽貨物運送事業とは
軽貨物運送事業とは、軽自動車や125ccを超える二輪自動車を使用して、他人の需要に応じ有償で荷物を運ぶ事業をいいます。
簡潔に言うと、「料金をもらって荷物を他人のために軽自動車や125ccを超えるバイク運ぶ」事業のことをいいます。
近年はネット通販の拡大により需要が高まり、個人事業として参入する方が増えています。
大手宅配業者と業務委託契約を結んだり、フリーランスとして荷主と直接契約するなど、働き方の幅が広いのが特徴です。
開業までに準備するもの
①営業所
営業所は自宅を営業所にしても構いません。
ただし、用途地域によっては、『非住宅部分の床面積が50㎡かつ建築物の延べ面積の2分の1未満のもの』という条件があります。
賃貸物件を事業に使用する際は、事前に貸主の承諾を得ておかないとトラブルの原因となることがあります。必ず確認しておきましょう。
②休憩室
『乗務員が有効に利用することが適切な施設であること』が条件となります。
自宅を営業所にされる場合、届出書には住所と同じにレ点を入れます。届出書に休憩室の欄があり、要件にあっていれば特別な書類は必要ありません。
③車庫
『原則として、営業所に併設とすることが必要ですが、併設できない場合は、営業所から2km以内に確保すること』が条件となります。
自宅を営業所にし、自宅の車庫を利用する場合、車庫の位置は自宅と同じとなります。
④事業用軽自動車
車両は1台から始めることができます。
軽貨物運送に使用される車両は、①から③の3種類あります。
① 軽(普通) :軽貨物/乗用自動車で霊柩及び二輪以外の自動車
②軽(霊柩) :軽貨物自動車で霊柩自動車のこと
③ 二輪 :二輪バイクで125ccを超える排気量のもの
開業までのスケジュール
1. 事業計画を立てる
- どんな働き方をするのか(委託契約か、自分で顧客を開拓するのか)
- 必要な収入と想定経費(燃料費・保険料・リース代など)
- 使用する車両(自家用かリースか)
まずは方向性を固めることが重要です。
2. 車両を用意する
- 軽バンや軽トラックを準備
- 黒ナンバーへの変更が必要(自家用車はそのままでは使えません)
黒ナンバーへの変更手続きは、管轄の運輸支局と軽自動車検査協会での手続きが必要となります。
3. 保険の切り替え
事業用の車両は事業用の保険に加入する必要があります。
これは任意保険だけでなく自賠責保険にも当てはまります。
事業用ナンバーを取得してからでないと保険の切り替えができないため、事業用ナンバーを取得したらすぐに保険の切り替え手続きを行います。
保険会社によっては事業用の任意保険を扱っていない保険会社もありますので、事前に確認しておくことが重要です。
保険の切り替えには1週間前後の時間がかかります。
4. 安全管理者の選任届出
2025年4月より、貨物軽自動車運送事業において、安全管理者の選任制度が導入されました。
2020年4月以降に軽貨物運送事業を始める場合には、事業開始までに安全管理者の選任を行う必要があります。
安全管理者になるためには、「貨物軽自動車安全管理者講習」を受講する必要があります。
安全管理者選任届出は、貨物軽自動車運送事業経営届を行う際、同時に届け出ることも可能です。
事業開始・開業届の提出
開業届は事業を開始してから1ヶ月以内に管轄の税務署に届け出る必要があります。
青色申告を行う場合、開業届と同時に「青色申告承認申請書」を提出します。
軽貨物運送事業の注意点
① 黒ナンバーが必須
自家用の黄色ナンバーでは事業用に荷物を運ぶことはできません。無許可営業になるため注意しましょう。
② 保険の内容を確認
一般的な自動車保険(自家用)では事業用自動車の補償は対象外となる可能性があります。
保険会社に確認するとともに、事業用の保険に加入することが必要です。自賠責保険の切り替えも忘れずに行いましょう。
行政書士がサポートできること
行政書士は官公署に提出する書類の作成、手続きの代理、相談業務などを行う専門家です。
開業準備の段階からサポートを受けることで、手続きの漏れやトラブルを防ぐことができます。
- 黒ナンバー申請の書類作成・提出代行
- 安全管理者選任届の書類作成・提出代行
- 開業に必要な各種届出のサポート
まとめ
軽貨物運送事業は、比較的少ない資金で始められる独立の方法として注目されています。
しかし、開業には 黒ナンバーの取得・税務手続きなど、意外と多くのステップがあります。
スムーズに開業したい方は、行政書士への相談もご検討ください。
👉 当事務所では、大阪府を中心に軽貨物運送事業の開業手続きをサポートしています。お気軽にご相談ください。

