近年、ネット通販の普及で「軽貨物ドライバーとして独立したい」「副業として軽貨物運送業を始めたい」という相談が増えています。
個人事業主として自由度の高い働き方ができ、未経験からでも始めやすい点が人気の理由です。
しかし、「運送って許可が必要?」「車はどう準備する?」「税務手続きは?」など、実際に独立しようとすると疑問がたくさん出てきます。
この記事では、行政書士の視点から、
個人事業主として軽貨物ドライバーになるための手続きと開業の流れを、最初から最後まで分かりやすく解説します。
軽貨物ドライバーは「個人事業主」での独立が一般的
軽自動車1台から始められる「貨物軽自動車運送事業」は、法人(株式会社など)を設立して開業することも可能です。しかし、実際には個人事業主としてスタートするケースが一般的です。
国土交通省が2024年に実施した「貨物軽自動車運送事業に係るアンケート調査」によると、回答者の84.7%が「車両1台のみ」で事業を運営しているという結果が出ています。
このデータからもわかるように、貨物軽自動車運送業は大規模な法人経営よりも、車1台で始める一人親方としての開業が主流となっています。初期費用の少なさや参入しやすい制度が、個人開業の多さにつながっているといえるでしょう。
軽貨物で開業するために必要な手続き一覧
個人事業主として軽貨物を始めるには、最低でも以下の手続きが必要になります。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出
- 黒ナンバー取得(事業用ナンバー)
- 事業用の自賠責保険・任意保険への加入または変更
- 開業届(税務署)
- 青色申告承認申請(税務署)
黒ナンバーを取得して軽貨物運送事業を始めるには、管轄の運輸支局へ事業を行うための届出(貨物軽自動車運送事業経営届出)が必要になります。
大阪府で黒ナンバーを取得する方法については、過去の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
軽貨物ドライバー個人事業開業までの流れ

個人事業主として軽貨物運送事業を始める流れを解説します。
軽自動車両を用意する
軽貨物運送事業は、「軽貨物車両・軽乗用車両・125ccを超える二輪車両」で運送事業を行う場合に必要となります。
2022年の法改正により、軽乗用車でも構造変更することなく軽貨物運送事業を始めることができるようになりました。
しかし、積載できる重量が貨物車両とは違いますので、しっかりと確認した上で車両を準備する必要があります。
軽乗用車を使用した軽貨物運送事業については、過去の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
管轄の運輸支局で「貨物軽自動車運送事業経営届出」を行う
黒ナンバーを取得し、軽貨物運送事業を行うためには、管轄の運輸支局で「貨物軽自動車運送事業経営届出」を行う必要があります。
管轄とは、営業所を管轄するという意味で、大阪府に営業所を設ける場合、寝屋川市にある近畿運輸局大阪運輸支局が管轄の運輸支局となります。
個人事業主として開業する場合、自宅を営業所にされる方が多いので、自宅を営業所にされる場合、自宅の住所地を管轄する運輸支局で手続きを行います。
貨物軽自動車運送事業経営届出を行うためには以下の書類が必要となります。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書
- 運賃料金設定届出書
- 貨物軽自動車運送事業運賃料金表
- 事業用自動車等連絡書
- 自動車検査証(車検証)または完成検査終了証
管轄の軽自動車検査協会で「事業用ナンバー」へ変更する
管轄の運輸支局で「貨物軽自動車運送事業経営届出」を提出すると、運輸支局の押印が入った「事業用自動車等連絡書」が返却されます。
その後、軽自動車検査協会で事業用ナンバーへ変更する際には、この押印済みの「事業用自動車等連絡書」が必ず必要になります。
軽貨物自動車検査協会ででは以下のものが必要です。
- 運輸支局の押印済み事業用自動車等連絡書
- 申請書
- 軽自動車税申告書
- ナンバープレート
- 車検証原本
- ナンバープレート代金(2,000円)
安全管理者の選任・適正診断の受診を行う
2025年4月より、軽貨物運送事業を始めるためには、「安全管理者の選任」「適正診断の受診」が必要となりました。
安全管理者に関しては、安全管理者講習を受講し、管轄の運輸支局へ「安全管理者選任届出」を行う必要があります。
適正診断は、貨物軽自動車運送事業としての初乗務までに初任診断の受診をする必要があります。
適正診断については、過去の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
事業用の保険に加入・変更する
自賠責保険及び任意保険を事業用に加入・変更するのを忘れないようにしましょう。
特に、自賠責保険の事業用への切り替えは忘れる方が多いので、注意するようにしてください。
開業届・青色申告承認申請を行う
個人事業主として事業を始める場合、開業から1か月以内に税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出することが所得税法で義務付けられています。
青色申告の届出は義務ではありませんが、最大65万円の特別控除を受けられるなど、白色申告と比べて節税効果が大きいため、青色申告を選択する方が一般的です。
複式簿記の知識がなくても、クラウド会計ソフトを利用すれば自動仕訳やレポート作成により青色申告に必要な帳簿付けがスムーズに行えます。
代表的な会計ソフトとしては、
- freee会計
- マネーフォワード クラウド会計
- やよいの青色申告オンライン
などがあります。
まとめ
軽貨物は個人事業主として始めやすく、「すぐに独立できて稼ぎたい人」「副業を始めたい人」に向いている仕事です。
必要な手続きを順番に進めれば、1〜2週間で開業することが可能です。
軽貨物運送で個人事業主として独立するのは、事前にしっかり準備しておけば十分に実現できる働き方です。
大阪での黒ナンバー取得申請代行は勝浦行政書士事務所にお任せ下さい
勝浦行政書士事務所では、軽貨物運送事業用ナンバー(黒ナンバー)の取得申請代行を行なっております。
大阪府では、「和泉ナンバー」であっても、「堺ナンバー」であっても「なにわナンバー」でも「大阪ナンバー」でも寝屋川市にある運輸支局での手続きが必ず必要になります。
運輸支局での手続き後は、それぞれのナンバーを管轄する軽自動車検査協会での手続きも必要となり、書類の準備から手続きにかかる時間は大変なものになります。
煩雑な書類手続きが不安の方や平日に時間が取れない方はご相談ください。
大阪府内であれば出張料金無料です。
当事務所代表行政書士は軽貨物運送事業の経験者です。
『軽貨物事業を始めたい』『軽貨物事業に興味がある』だけど不安もいっぱいという方でも、安心してご相談ください。






