軽貨物運送事業とドライバー適正診断の関係性を行政書士が解説

貨物軽自動車運送事業の適性診断

軽貨物運送事業では、貨物軽自動車運送事業者の安全対策強化として、令和6年に法令改正、令和7年4月より安全管理者制度が創設されることとなります。

これから軽貨物運送事業を始める方にとって、適正診断は必ず受けなければならないのか、誰が対象なのか、疑問を持たれる方も多いかもしれません。

本記事では、行政書士として運送業支援に携わる立場から、軽貨物運送事業とドライバー適正診断の関係性について整理し、事業者が押さえておくべき実務上のポイントを解説します。

目次

軽貨物運送事業の適正診断とは何か?


貨物軽自動車運送事業者に対する令和6年法令改正に伴う安全対策強化」により、貨物軽自動車運送事業者は、「国土交通大臣に認定された適性診断の受診をさせなければいけません」と定められました。

個人事業主として軽貨物運送事業を始める場合、事業者本人が適正診断を受講する必要があります。

適正診断には以下の4種類があります。

初任診断

初任診断は、貨物軽自動車運送事業の運転者として初めて乗務する方が受けるもので、軽貨物事業での運転を行う前に受講する必要があります(やむを得ない事情がある場合は乗務開始後1ヶ月以内受講)

初任診断は、「独立行政法人 自動車事故対策機構」「ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社」などで受診することが可能です。受講料は4,800円でオンラインでの受診はありません。


適齢診断

適齢診断は65歳以上の方を対象にしたものです。
年齢が65歳に達した日以降、1年以内の受信する必要があります。その後は3年以内に1回の受診が必要となります。


特定診断Ⅰ・Ⅱ

特定診断は以下に該当する方が、再度乗務する前に受診する必要があります(やむを得ない事情がある場合は乗務再開後1ヶ月以内)

特定診断Ⅰ:死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の1年間に交通事故を引き起こしたことがない者及び軽傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故 前の3年間に交通事故を引き起こしたことがある者

特定診断Ⅱ:死者又は重傷者を生じた交通事故を引き起こし、かつ、当該事故前の1年間に交通事故を引き起こしたことがある者

2025年4月以降に貨物軽自動車運送事業を始める場合

これから貨物軽自動車運送事業を個人事業主として始める場合の流れについて適正診断を含めて解説します。

STEP
車両の用意

2022年10月から貨物運送事業を行うのに軽乗用車でも可能となりましたので、軽乗用車でも構造変更することなく黒ナンバーの取得が可能となります

ただし、積載量に違いがありますので注意が必要です。
軽乗用車での黒ナンバー取得については、「「軽乗用車」でも黒ナンバーを取得できることについて解説」でも詳しく解説しています。ご興味のある方はご参照ください。

STEP
安全管理者講習の受講

2025年4月以降に軽貨物事業を始める方は、貨物軽自動車運送事業経営届出後、事業開始するまでに速やかに安全管理者を選任する必要があります。

「貨物軽自動車運送事業経営届」と「安全管理者選任届」は、どちらも管轄の運輸支局に提出しますので、安全管理者講習を受講してから経営届と選任届を同日で提出すると、運輸支局での手続きが1日で済みます。

STEP
黒ナンバーの取得

管轄の運輸支局で、「貨物軽自動車運送事業経営届」と「安全管理者選任届」を提出した後、管轄の軽自動車検査協会にて黒ナンバーへの変更手続きを行います。

STEP
事業開始までに初任診断・適齢診断の受診

貨物軽自動車運送事業としの初乗務までに初任診断の受診をする必要があります。
65歳以上の場合には、乗務開始の日から1年以内に適齢診断を受診する必要があります。

STEP
事業開始

貨物軽自動車運送事業のスタートです。
事業開始までには「自賠責保険」や「任意保険」を事業用に変更・加入を忘れないようにしましょう。
状況によっては、「貨物保険」への加入も必要です。

STEP
開業届の提出

開業届は事業開始から1ヶ月以内に管轄の税務署に提出する必要があります。

2025年の安全管理者制度の創設より、軽貨物運送事業にも適正診断などの安全対策が義務化されています。
黒ナンバーを取ったからすぐに事業開始できるものではなくなりましたので、事業開始予定日から逆算した計画が必要です。

行政書士が見る実務上の留意点

実務で支援をしていると、以下の点で誤解が多いと感じます。

よくある勘違い
  • 健康診断と適正診断を混同しているケース
  • 黒ナンバー取得時に「必ず受診しないと許可が下りない」と誤解されている

安全管理者の選任制度や適正診断については、十分に理解されていない方も少なくありません。こうした誤解を防ぐためにも、運送業に精通した行政書士のサポートを受けることには大きなメリットがあります。

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まとめ

貨物軽自動車運送事業においても、「適正診断」は義務となりました。
2025年3月31日までに事業を始めていた方と、2025年4月以降に事業を始める方では、受診が必要な時期や必要な診断が変わってきます。

ご自分の状況に応じて、必要な適正診断を受診する必要があります。

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