運送業を始めるにあたって欠かせないのが「運行管理者」の選任です。
運行管理者は、事業用自動車の安全運行を管理する責任者であり、運送業の許可を取得する際にも必須条件となります。
この記事では、運行管理者の役割や資格取得の方法、そして事業規模に応じて必要となる人数のルールを分かりやすく解説します。
運行管理者とは?
運行管理者は「貨物自動車運送事業法」に基づき、営業所ごとに選任が義務付けられている国家資格者です。
運行管理者には「貨物」と「旅客」の2種類があり、貨物運送事業においては、貨物運送事業の運行管理者に選任されるためには、「貨物」の運行管理者の選任要件を満たす必要があります。
運行管理者は、道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき以下の業務を行う必要があります。
- 休憩・睡眠施設の保守管理
- 事業用自動車の運転者の乗務割の作成
- 運転者の指導監督
- 点呼による運転者の疲労・健康状態等の把握や安全運行の指示
- 交通事故やトラブルの防止策の徹底
これらのように、運行管理者は、事業用自動車の運行の安全を確保するための業務を行います。
運行管理者の資格取得方法
運行管理者になるには、国家試験に合格するか、実務経験を積む必要があります。
1. 国家試験に合格する方法
- 試験は年2回(3月・8月頃)実施
- 試験には「貨物」「旅客」があり、貨物運送業なら「貨物」試験を受験する
- 合格率は約30%前後(比較的難易度は高め)
運行管理者の受験には受験資格を満たす必要があります。
- 事業用自動車(事業の種別は問わない)の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者
- 講習認定機関が行う基礎講習を受講した者
運行管理者試験は1年度に2回行われます。
第1回が8〜9月、第2回が2月〜3月です。
実務経験による資格取得
- 自動車運送事業で 実務経験5年以上を有すること
- 実務経験5年以上の間に、運行の管理に関する講習を5回以上受講していること
運行管理者の必要人数のルール
営業所ごとに、配置する運行管理者の人数は車両数に応じて決まります。
- 車両29台以下 → 運行管理者 1名以上
- 30台~59台 → 運行管理者 2名以上
- 60台~89台 → 運行管理者 3名以上
90台以上の場合、車両30台ごとに1名ずつ追加が必要となります。
運行管理者が2名以上になる場合、統括運行管理者を選任する必要があります。
運行管理者がいないとどうなる?
運行管理者がいないと新規の運送業許可が下りません。
また、既存の運送事業者において運行管理者がいない場合、行政処分の対象となります。
重大事故発生時には 刑事責任 を問われる可能性もありますので、人事異動や退職などで運行管理者に変更があった際は必ず変更の届出を行わなければいけません。
つまり「運行管理者がいない=運送業は成り立たない」といえるほど重要な存在です。
まとめ
運送業を開業する第一歩として、運行管理者の確保は避けて通れません。
また、すでに運送業を営んでいる事業者は、運行管理者に変更があった場合は1週間以内に変更の届出をする必要があります。
- 運行管理者は安全運行の責任者
- 国家試験合格または5年以上の実務経験で資格取得可能
- 車両台数に応じて必要人数が決まる(29台以下で1名、以降30台ごとに1名追加)
運送事業者に求められるのは安全で確実な輸送です。この安全体制の中心的役割を果たすのが「運行管理者」です。
運行管理者に変更があった場合は届出が必要です
運行管理者に場合、管轄の運輸支局への届出が必要であり、届出を失念してしまうと行政処分の対象となってしまいます。
運行管理者の変更届は少なからず時間と労力を必要としますので、日常業務に忙しい事業者様は、ぜひ当事務所までご相談ください。