貨物利用運送事業とは、自らはトラックなどの車両を持たずに、他の運送業者に輸送を依頼して貨物を運ぶ事業をいいます。
この法律において「貨物自動車利用運送」とは、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者が他の一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者の行う運送(自動車を使用しないで貨物の運送を行わせることを内容とする契約によるものを除く。)を利用してする貨物の運送をいう。
荷主から貨物の運送を請け負い、実際の輸送は他の運送事業者に委託する形です。物流の効率化や全国配送の仕組みづくりにおいて、重要な役割を担っています。
この貨物利用運送事業には「第1種」と「第2種」があり、事業の形態や許可・登録の要件が異なります。
「第1種」と「第2種」の違いについて解説します。
第1種と第2種の違い
貨物利用運送事業の「第1種」と「第2種」の大まかな違いは以下の内容です。
| 区分 | 内容 | 根拠法令 | 許可・登録 |
|---|---|---|---|
| 第1種貨物利用運送事業 | 運送手段が1種類 | 貨物自動車運送事業法第2条 | 国土交通大臣の登録 |
| 第2種貨物利用運送事業 | 運送手段が2種類以上 | 同上 | 国土交通大臣の許可 |
運送手段の違い
利用する運送手段が2種類以上となると「第2種貨物利用運送事業」となり、それ以外が「第1種貨物利用運送事業」となります。


上記の図のように、ひとつの運送手段で運送する場合が「第1種貨物利用運送事業」であり、「船」と「トラック」のように複数の運送手段で運送数場合が「第2種貨物利用運送事業」となります。
許可と登録の違い
ひとつの運送手段で運送を行う「第1種貨物利用運送事業」は登録制、複数の運送手段を組み合わせて運送を行う「第2種貨物利用運送事業」は許可制となっています。
一般的に、登録制よりも許可制のほうが要件が厳しく、そのため「第2種貨物利用運送事業」は、開業までのハードルがより高いのが特徴です。
許可・登録の要件
「第1種貨物利用運送事業」と「第2種貨物利用運送事業」で必要な要件には以下のものがあります。
- 施設要件(営業所・保管施設)
- 財産的要件
- 人的要件(欠格事由)
- 施設要件(営業所・保管施設)
- 財産的要件
- 人的要件(欠格事由)
- 事業計画
施設要件
営業所および保管施設については、原則として市街化調整区域内に所在しないことが求められます(※一部例外あり)。
また、市街化区域内にある場合には、事務所や保管施設として建築が認められている地目・用途地域に位置している必要があります。
さらに、建物が建てられている土地が農地法上の「田」や「畑」ではないこと、加えて、営業所や保管施設として建築基準法の基準を満たしていることも重要な要件です。
加えて、保管施設については、事業内容に見合った適切な規模・構造・設備を備えていることが求められます。
財産的要件
財産的基礎とは、純資産300万円以上を有していることを指します。
個人の場合は資産調書(預金など)で直近の純資産を証明し、法人であれば直近決算期時点の貸借対照表に記載されている純資産額で証明します。
人的要件(欠格事由)
欠格事由とは、『ある条件に当てはまると、貨物利用運送事業の許可や登録を受けられない決まり』というものです。
欠格事由には以下のものがあります。
-
欠格事由
- 1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
- 第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者
- 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者
- 法人である場合、その役員が上記一から三の項目に該当する者
- 船舶運航事業者若しくは航空運送事業者が本邦と外国との間において行う貨物の運送(以下「国際貨物運送」という。)又は航空運送事業者が行う本邦内の各地間において発着する貨物の運送(以下「国内貨物運送」という。)に係る第一種貨物利用運送事業を経営しようとする者であって、次に掲げる者に該当するもの
- 日本国籍を有しない者
- 外国又は外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの
- 外国の法令に基づいて設立された法人その他の団体
- 法人であって、イからハまでに掲げる者がその代表者であるもの又はこれらの者がその役員の三分の一以上若しくは議決権の三分の一以上を占めるもの
まとめ
貨物利用運送事業の第1種と第2種の違いは、運送手段が1つだけか、複数の手段を組み合わせるかという点にあります。
さらに、第1種は登録制、第2種は許可制という制度面の違いもあります。
第1種貨物利用運送事業は登録制とはいえ、クリアすべき要件がいくつもあり、手続きは決して簡単ではありません。
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一般貨物自動車運送事業者が利用貨物運送事業を始めたい場合には手続きが変わります。
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