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任意後見契約とは

任意後見契約とは

少子化や高齢化が進んでいく中で、一人で老後を向かえる方の人数は確実に多くなっていきます。
『今はまだ元気だけど、これからのことを思うと不安』と思っている方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

総務省統計局のデータによると、高齢単身者は300万人を超えているとのことです。
今後ますます高齢単身者の数は増えていくものと予想されます。

認知症などで判断能力が低下すると、「預貯金の引き出し」「不動産などの財産管理」「介護施設などの入所手続き」などを一人で行うことが困難になります。

『今は元気だけど、今後自分であれもこれもできなくなった時はどうしよう』という不安を解決する方法の一つとして任意後見契約というものがあります。

この記事では、任意後見契約について詳しく紹介していきます。

この記事を読んで欲しい人

任意後見契約について知りたい方

 

任意後見契約の利用方法

任意後見制度の利用方法は”任意後見契約に関する法律”により細かく定められています。

任意後見契約を締結するには、「公正証書での締結」が必要となります。
契約が締結されると、公証人の嘱託により、その契約内容が法務局で登記されることになります。

そして、本人の判断能力が低下し支援が必要になったら、家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立てを行い、家庭裁判所から任意後見監督人が選任されたら、任意後見人の支援が開始されることになります。

任意後見契約の内容

任意後見契約では、判断能力が低下した際に、任意後見人に委託する事務を決めて契約することになります。その委任事務を処理させるために、任意後見人に代理権を付与させます。

付与された代理権は、規定の様式で作成された代理権目録に記載しなければなりません。任意後見人は、代理権目録に記載されていること(契約で委任されていること)以外を行うことはできません。

契約締結時に、どこまで任意後見人にお願いするのかを決めておかなくてはいけません。

任意後見契約のメリット

任意後見契約とは、元気なうちに認知症や障害の場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約しておく制度です。

法定後見制度では、申立書に後見人候補者を記入する欄がありますが、必ずしもその方が選任されるとは限りません。

しかし、任意後見の場合はご本人が選んだ方を任意後見人にすることができます。したがって、信頼できる方と契約することにより、将来の不安を減らすことができます。

また、法定後見と違い、任意後見は契約ですので、契約の解除によって終了することができます。
契約の解除ができるのは、任意後見監督人の選任前と選任後によって条件が違います。

①任意後見監督人の選任前
  本人または任意後見受任者は、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって、契約を解除することができる。

②任意後見監督人の就任後
  本人または任意後見受任者は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、契約を解除することができる

その他のメリットとしては、報酬もあらかじめ決めらること、亡くなった後のことまで委任する「死後事務委任契約」も併せて契約することができる点などが挙げられます。

任意後見契約のメリットまとめ

⚫️自分の信頼できる人に委任することができる

⚫️あらかじめ、どの程度まで代理してもらうかを決めることができる

⚫️契約を解除することも可能(条件はある)

⚫️亡くなった後のことを委任する『死後事務委任契約』を併せて契約することができる

任意後見契約のデメリット

任意後見と法定後見との大きな違いに、本人が行った法律行為を後見人が取り消すことができるかどうかがあります。

本人が行った法律行為を取り消すことができる法定後見に対し、任意後見の場合、本人が行った法律行為を取り消すことはできません。

例えば、本人が詐欺で高額な商品を買ってしまったとしても、”取消権を行使しての取り消し”は任意後見人には出来ないということです。

また、法定後見では、後見監督人が選任されるかはケースにより異なりますが、任意後見契約は任意後見監督人が選任されますので、後見監督人に対する報酬も発生することになります。

任意後見契約のデメリットまとめ

後見監督人が選任されると後見監督人の報酬も発生する

本人が行った法律行為を取り消すことはできない

後見監督人を選任するタイミング(本人の判断能力が低下したタイミング)を見定めなければならない

まとめ

この記事では”任意後見契約”について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

デメリットもありますが、任意後見契約にはメリットも多くあることがご理解いただけたかと思います。

任意後見契約を結ぶことによって、将来の不安を和らげることが何よりも最大のメリットではないでしょうか。
元気なうちに、この人にお願いしたいと信頼できる人に委任できることも大切なことです。

任意後見制度を正しく理解し、利用を検討することが重要です。

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