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「無効になる遺言書」とは?気をつけたいこと3選

無効になる遺言書

せっかく作った遺言書が”無効なもの”であったらどうでしょうか?
残された方々に苦労をかけないために遺言書を残したのに、その遺言書が無効なものであったため、『無用な相続争いを引き起こしてしまった』という事例は少なからずあります。

この記事では、遺言書が無効になってしまう事柄を3つ紹介します。

この記事を読んで欲しい人

どのような場合に遺言書が無効になるか知りたい方

 

共同遺言

共同遺言とは、2人以上の者が同一の遺言書で遺言することをいいます。

遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない

民法975条

共同遺言がなぜ禁止されているかというと、それぞれの遺言者の意思が不明確になったり、片方が遺言書の内容を撤回したくても他方の意思によって制約される恐れがあるからです。

過去の裁判例からみても多くあるのは、夫婦共同名義での遺言です。
昭和56年9月11日の最高裁判例で、夫が妻の分の証明押印をした夫婦共同遺言において、妻のみの遺言部分だけでなく夫の遺言部分も共同遺言禁止から無効であるとしたものがあります。

遺言は、2人以上の者が同一の証書に、各遺言者の意思内容が相互に関連するような形で各自の意思表示がされていた場合に共同遺言となり、効果がないものとなります。

負担付死因贈与と抵触する

負担付死因贈与とは、例えば、『介護をしてくれたら自分の死後に財産を譲る』といったように、死亡を起因とする贈与を条件付きにしたものです。

”贈与”というのは、『贈る方が贈るという意思表示をして貰う方がこれを承諾する』ということで成立する契約の一種となります。
一方で、遺言書で遺産を譲る行為は、被相続人(贈る方)の一方的な意思表示となり、相続人や受遺者(貰う方)の意思は関係なく、契約ではありません。

贈与は契約の一種。遺贈は贈る方の一方的な意思表示

民法554条は、死因贈与については遺贈に関する規定を準用すると規定しています。
遺言で相続人以外に財産を譲る遺贈の規定を準用するということは、”死因贈与契約”と”遺言書”の内容が抵触し、遺言書の方が後に作成されていた場合、「死因贈与契約の内容」は「遺言書の内容」によって撤回されたとなります。
ですので、この場合は遺言書が無効になることはありません。

問題となるのが、負担付死因贈与契約で、贈与者の生前に受贈者によって負担が履行されていた場合です。
この場合、遺言の撤回に関する規定が適用されるかが問題となります。

過去の裁判例では、贈与者の生前に負担の全部またはこれに類する程度の履行がなされた場合、特段の事情がない限り取消(撤回)は認められないとの判例があります。

図でまとめると以下のようになります。

贈与と遺贈の違い
死因贈与と遺贈の違い
負担付死因贈与と遺贈の違い

死因贈与契約を締結した後に遺言書を作成し、内容が抵触した場合、抵触した部分については遺言書で死因贈与契約を撤回したとみなされます。

しかし、負担付死因贈与契約において、後に作成した遺言書が抵触したとしても、相続発生時に、負担がすでに履行済みであった場合は内容の抵触している部分は遺言書の方が無効になるといったイメージです。

内容が不明確

遺言書では、『誰にどの財産を相続させるか』という意思表示が正確に記載されていなければなりません。

例えば、『銀行預金は子供達に相続させる』といった内容で記載した場合、「どの銀行口座」か「誰にいくらか」が不明確でわかりません。こういった内容が不明確な遺言書は無効となってしまいます。

銀行預金の相続を遺言書に書く場合は、『◯◯銀行△△支店 普通 口座番号◯◯◯◯ 名義人△△△△の預金を 遺言者の長男の◯◯◯◯に相続させる』というように、明確に記載しなければなりません。

まとめ

この記事では、遺言書が無効になってしまう可能性があるパターンを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

遺言は法律で定める方式に従わなければすることができません。法律に則っていない遺言書や内容が不明確な遺言書は無効となってしまいます。

遺言書は作成すること自体が目的ではありません。遺言の効力が発生した際に、遺言者の意思が残された方々にしっかりと伝わり、相続人間で争いが起こらないようにすることが目的です。

相続が発生した時、相続人の方が困らない遺言書を残すことが重要です。

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