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”エンディングノート”は遺言書の代わりになるのか?

エンディングノート

”エンディングノート”と”遺言書”は似て非なるものです。
結論から申し上げて、エンディングノートは遺言書の代わりにはなりません。

なぜなら、遺言書が法的な効力がある遺言者の意思表示に対して、エンディングノートは法的な効力がない個人の意思表示となるからです。

この記事では、エンディングノートと遺言書の違いについて解説します。

この記事を読んで欲しい人

エンディングノートと遺言書の違いについて知りたい方

 

エンディングノートとは

”エンディングノート”とは、自分の人生の終わりについて記したノートのことです。

万が一に備えて、家族や友人に「自分の気持ち」や「今後のこと」「亡くなった後の希望」などを書き記し、自分が亡くなった後の想いを伝えることができます。

「資産」や「負債」などが、どこにどのくらいあるのかや保管場所などを記載しておけば、ご自分に万一のことがあった時、残された家族が対応しやすくなります。

また、誰かに残すという目的ではなく、『自分の人生と向き合える』という意味もエンディングノートにはあります。残りの人生をより充実させるために書かれる人も多いのではないでしょうか。

「遺言書」も「エンディングノート」も、書く人の気持ちを次代に残すという意味では同じものですが、その違いは法的な効力があるかどうかになります。

エンディングノートに記載する事柄の例

  • 葬儀・墓地についての希望
  • 財産・資産に関する情報
  • 医療・介護に関する希望
  • デジタル遺産(パスワードなどについて)
  • 家族・親族への想い
  • ペットに関すること
  • 自分が亡くなった後の希望(法的な効力はない)
  • 家族などへのメッセージ

遺言は法律行為である

遺言書の作成は、法律に則った方式で行う必要があります。
法律に則らない方式で作成された遺言書は無効なものとなってしまいます。

証人の立会いが要らない「自筆証書遺言」であれば、次のような規定が民法で定められています。

  1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

  2. 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。

  3. 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」を作成する際、用紙の指定はありませんが、書き方や訂正方法は規定されています。そして、それらを逸脱したものは無効となってしまいます。

一方で、エンディングノートには定められた書き方などはありません。個人が個人の思うままに書いて良いですし、パソコンで書いても自筆しても何ら問題ありません。

しかし、エンディングノートは法的な効力がないため、書いた方の想いが叶えられない可能性があります。
エンディングノートに書かれた故人の希望を相続人全員が汲んでくれれば良いですが、そうならない可能性があり、相続争いが起こってしまうこともあるかもしれません。

残された家族へ、ご自分の想いを実現させるためには遺言書を作成する必要があります。

エンディングノートが見つかった場合

ご家族が亡くなった後に、その方のエンディングノートが見つかった場合、法律的には特に何もする必要はありません。

亡くなった家族の遺言書が出てきた場合、すぐに開封してはいけなく、家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければなりません。
遺言書が出てきた際の対応については、『過去記事:亡くなった親族の遺言書が出てきた時どうずれば良いのか!』をご参照ください。

遺言書の場合、遺言書を「偽造」「変造」「破棄」「隠匿」することは相続人欠格事由に該当します。要は遺言書を隠したりした者は相続人の権利がなくなると民法で規定されているのです。

一方で、エンディングノートの場合、発見した方が他の親族に知らせる義務もありませんし、隠したりすることは道徳的にはどうかと思いますが、遺言書のように相続人の権利を失うということは法的にはありません。

したがって、エンディングノートには、法的な効力や拘束力はないため、故人の想いや希望を叶えるのは、残された方々の判断となります。
遺産分割で言えば、故人の希望通りの遺産分割を行っても良いですし、相続人間で全く違う遺産分割を行うこともできます。

故人のエンディングノートを見つけた場合の法的な制限はない

まとめ

エンディングノートと遺言書の違いについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

エンディングノートには法的な効力がありませんが、自分の人生を見つめ直したり、家族や友人に想いを伝えるツールとしては活用できます。

ただし、遺言書とエンディングノートは似て非なるもの。遺言書の代わりにエンディングノートを書いている方は、見直すことが必要です。

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