飲食店を開業する際に欠かせないのが「飲食店営業許可」です。
近年、この許可申請をオンラインで行う自治体が増え、「GビズID(ジービズアイディー)」というアカウントの取得が必要になるケースが多くなっています。
しかし、
「GビズIDって何?」
「どうやって取得するの?」
「行政書士に代行してもらえるの?」
と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、GビズIDの仕組みから、行政書士によるサポート内容までわかりやすく解説します。
GビズIDとは?
GビズIDとは、経済産業省のデジタル庁が運営する「法人・個人事業主向け共通認証システム」です。
”共通認証システム”と言われてもよくわからないと思いますが、「一つのID・パスワードで複数の行政システムにログインできるアカウントのこと」と思ってください。
このIDを取得しておくことで、さまざまな行政手続を一つのアカウントでオンライン申請できるようになります。
実は、飲食店営業許可の申請にも、このGビズIDは対応しています。
GビズIDの種類
GビズIDには3種類のアカウントがあります。それぞれに利用できる行政サービスが異なります。
アカウントの種類 | 対象者 | 書類審査 |
---|---|---|
GビズIDメンバー | 事業しているなら誰でも | 不要 |
GビズIDエントリー | gBizIDプライム取得組織の従業員向け | 不要 |
GビズIDプライム | 法人代表者・個人事業主向け | 必要(約一週間程度) |
利用できる行政サービスは、GビズIDサイトの「行政サービス一覧」に掲載されています。プライムは全ての行政サービスが対象となっていますが、メンバーのアカウントでは利用できないサービスがありますので注意が必要です。
GビズIDのプライムアカウントの作成は書類による申請では、アカウントの取得に1〜2週間程度かかってしまいます。
マイナンバーカードを用いた申請では、即日でアカウントを取得することが可能です。
GビズIDの取得代行は可能か?
結論から申し上げて、「GビズIDの取得代行」は現実的ではありません。
GビズIDアカウントの取得には、「オンライン申請」と「書類郵送申請」の2通りがあります。
書類郵送申請には、”印鑑証明書”や”代表者印”が必要となります。申請から取得までに期間もかかるため、オンライン申請での取得が一般的となってきています。
オンライン申請においては、マイナンバーカードを使用して本人確認を行うことが必要になります。
マイナンバーの暗証番号も必要となり、本人しか知り得ない個人情報を用いることになるため、GビズIDの取得を第三者が代行することは実務的には不可能ということになります。
行政書士においても、GビズIDの取得手続きを完全に「代行」することはできません。
GビズIDは本人確認が厳格に求められるため、アカウント作成は原則として申請人本人が行う必要があります。
- 入力項目の案内
- 書類のチェック
- 郵送先・手順のサポート
などは可能ですが、本人確認書類を代理提出することはできません。
飲食店営業許可関連のオンライン申請
飲食店営業許可のオンライン申請には、「GビズIDアカウントを利用する方法」と「ローカルアカウントを利用する方法」があります。
ローカルアカウントとは、「食品衛生申請等システム」で登録するアカウントで、食品衛生申請等システムでしか使用することができないものです。
GビズIDアカウントは、デジタル庁により提供されているアカウント管理サービスで、さまざまな行政サービスに利用できるアカウントになります。
補助金の申請などにも必要となるアカウントですので、取得しておいて損はありません。
飲食店営業許可オンライン申請の行政書士サポート
GビズIDを使用した申請には、jGrants(府省庁・自治体の運営する補助金・助成金にオンライン申請するためのウェブサービス)があります。
jGrantsでは、申請者と行政書士がそれぞれのGビズIDでログインし、オンライン申請を共有(申請者が行政書士に委任するという形)するという機能があります。
簡単にいうと、補助金の申請(jGrants)では、委任・受任の登録を行えば、行政書士は自身のGビズIDで申請者の申請画面にログインが可能ということです。
しかしながら、飲食店営業許可申請などの「食品衛生申請等システム」では、行政書士への委任機能というものはありません。
まとめ
GビズIDの取得は個人情報が関わるため、行政書士による取得代行は行えません。
そして、飲食店営業許可の申請を行う「食品衛生申請等システム」では、行政書士への申請の「委任・受任」機能がないため、行政書士が作成した図面や申請書などをオンライン申請に反映させるためには、申請者(事業者)が自身の申請情報に反映させる必要があります。