個人経営の飲食店を法人化する方法|必要な手続きと注意点

飲食店の法人化

個人事業として飲食店を経営していると、売上や利益が一定規模を超えた段階で「法人化」を検討する方も多いのではないでしょうか。
法人化には節税や信用力の向上といったメリットがある一方で、手続きの煩雑さやコストの増加といったデメリットも存在します。

この記事では、個人経営の飲食店を法人化する際の方法や手続き、注意すべきポイントを行政書士の視点からわかりやすく解説します。

目次

法人化を検討すべきタイミング

個人事業としての飲食店経営が安定し、次のような状況に当てはまる場合は、法人化を検討する価値があります。

所得税の負担が重くなってきた場合
所得税は累進課税のため、利益が大きくなるほど税率も上がります。法人税率の方が有利になるケースもあります。

複数店舗を展開する予定がある場合
法人格を持つことで、融資や取引先からの信用力が高まり、拡大がスムーズになります。

家族を従業員として雇用している場合
給与を経費にできるなど、節税につながる可能性があります。

飲食店を法人化する方法と流れ

1. 法人の形態を決める

最も多いのは「株式会社」と「合同会社(LLC)」です。

  • 株式会社 … 社会的信用度が高く、融資や取引に有利。設立費用は高め。
  • 合同会社 … 設立費用が安く、運営の自由度が高い。社会的認知度はやや低い。

飲食店の場合、将来の事業拡大や資金調達を考えると「株式会社」を選ぶ方が多いです。

2. 社名を決める

社名は法律上は「商号」といい、会社の顔やブランドとなるものです。

法人は登記することが定められておりますが、同じ所在地で同じ会社名は登記できないことになっています。
自分が設立する本店所在地で、すでに同じ社名が登記されていないか事前に確認することが必要です。

3. その他の概要を決める

決定する事項
  • 資本金
  • 設立日
  • 会計年度
  • 株主の構成
  • 役員の構成

4. 会社の実印を作成する

法務局に会社を設立登記する際に会社の実印が必要になります。
会社の実印は、代表者印や丸印と呼ばれる印鑑で、「印鑑届書」で法務局に登録します。

5. 定款の作成・認証

会社設立の基本となるルールをまとめた「定款」を作成します。
株式会社の場合は公証役場での認証が必要です

6. 登記申請

法務局で「会社設立登記」を行います。これにより、正式に法人として認められます。
登記申請後、不備がなければ1週間~10日程度で登記が完了し、無事に会社設立が完了となります。

7. 税務署・都道府県税事務所・市町村への届出

法人設立後、税務関係の届出を行います。法人税、消費税、源泉所得税などの申告義務が発生します。

法人になると社会保険の加入が義務付けられています。

個人事業主で5人未満の雇用であれば、社会保険の加入は義務づけられていないため、法人化することにより、社会保険加入の手続きが必要となる可能性があります。

8. 飲食店営業許可の名義変更

個人事業で取得していた営業許可は、法人設立後に「法人名義」にする必要があります。

飲食店営業許可の名義人が法人の代表者となる場合であっても、個人と法人は別人格とみなされるため、飲食店営業許可の名義が変わるということになります。

飲食店営業許可の変更手続きも必要となります。

お気軽になんでもお問い合わせください

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法人化の注意点

1. 設立コストと維持コスト

一般的に株式会社の設立には約20万円から25万円、合同会社の設立には約10万円以上かかるとされています。
また、法人は赤字でも決算や法人住民税が必要です。

2. 社会保険への加入義務

法人化すると社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務づけられます。人件費が増える点には注意が必要です。

3. 会計・税務処理の複雑化

法人の会計は個人事業よりも複雑で、税理士への依頼が一般的です。
顧問料などのランニングコストも考慮しましょう。

飲食店の法人化は士業専門家のサポートを

飲食店を法人化する際には、法人設立・税務・労務・営業許可など、多岐にわたる手続きが必要となります。
それぞれ専門分野が分かれており、法人設立は司法書士、税務は税理士、労務は社会保険労務士、許可申請は行政書士が担当します。

当事務所では、信頼できる各専門家と連携しておりますので、法人化に関するすべての手続きを一括でサポート可能です。
お客様は煩雑な手続きを気にすることなく、安心して経営に専念していただけます。

まとめ

個人経営の飲食店を法人化すると、節税や信用力の向上など多くのメリットがありますが、同時に手続きの煩雑さや維持費用といったデメリットも伴います。

法人化を検討する際は、

  • 売上規模や将来の展望
  • 税務上のメリット・デメリット
  • 設立コストとランニングコスト
    をしっかり比較検討することが大切です。

当事務所では、飲食店の法人化に伴う会社設立や営業許可の取得をサポートしています。
法人化をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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