運送業許可の更新制で何が求められる?準備しておきたい対応策

運送業の許可更新制事前対策

トラック運送業許可を5年更新制にする関連法令が、2025年6月に参院本会議で可決・成立しました。
今後3年以内に貨物運送事業の5年ごとの許可更新制が実施されると見込まれています。

貨物自動車運送事業の許可更新制の詳細な内容は発表されていませんが、平成29年から許可の更新制が導入されている「一般貸切旅客自動車運送事業」の内容から、どういったことに気を付けるべきかを解説します。

目次

更新制とは?制度の背景と目的

運送業における「許可の更新制」とは、事業開始後も一定期間ごとに国の審査を受け、許可の更新を行う制度です。

これまでは、貨物運送業の許可は「一度取得すれば基本的に更新不要」というスタイルが主流でした。
しかし、長期にわたる無審査状態では、以下のような問題が起きやすいとされてきました。

  • 運行管理がずさんな事業者の放置
  • 安全義務違反が発覚しても長期的監視ができない
  • 名義貸しや実態のない事業者の温存

これにより、運送業界全体の信頼性を損なう事態が懸念されるようになりました。
これを受け、一定期間ごとに事業者の適格性をチェックする「更新制」導入が進められているのです。

一般貸切旅客自動車運送事業の許可更新制

「一般貸切旅客自動車運送事業」とは、観光バスや送迎バスなどを使って、乗客の予約に応じて運行する事業です。
運行ルートや時間は乗客の希望に応じて都度設定される形態で、いわゆる「貸切バス事業」です。

一般貸切旅客自動車運送事業の許可更新制が導入された目的には以下のものがあります。

  1. 事業者の安全対策を徹底するため
  2. 運転者への安全教育など、事業者が守るべきルールを徹底するため
  3. 重大な事故の再発防止
  4. 不適格者の排除

一般貸切旅客自動車運送事業の許可更新制が導入されたキッカケは、平成28年に起こった長野県のバス事故があります。
この事故により道路運送法が改正され、平成29年から貸切バス許可は5年ごとの更新制となりました

許可更新時に確認される主な項目

  • 運行管理者や整備管理者が適切に配置されているか
  • 点呼・乗務時間・休憩・睡眠時間などが適切に管理されているか
  • 過去に行政処分を受けていないか
  • 社会保険未加入や、違法な長時間労働がないか

申請直近の1事業年度において事業者の財務状況が赤字でないことが条件になっています。
さらに、直近の3事業年度が連続してすべて赤字だった場合は更新できません。

新規許可・更新許可時から次回更新申請時までの間に毎年連続して行政処分を受けている場合、許可の更新をすることができません。

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今から備えるべき対応策

貨物運送事業においても許可更新制が導入される見通しであり、一般貸切旅客自動車運送事業の更新制から見て、今から備えるべきポイントはなんでしょうか?

法令違反の記録を残さない

一般貸切旅客自動車運送事業の更新制では、毎年連続して行政処分を受けている場合、許可の更新ができなく、運送事業を続けることが不可能となります。

軽微な違反も積み重ねれば不利益となるため、日々の運行記録や指導監督の徹底が不可欠です。

運行管理体制の整備

運行管理者や整備管理者の選任、日常点検記録の保管など、安全体制の見直しが重要です。
形だけの管理体制になっていないか再点検しましょう。

就労環境・労働時間の改善

長時間労働や過重運転が常態化していないかをチェックし、働き方改革関連法に準拠した労務管理を徹底しましょう。
2024年4月のトラック運転者の改善基準告示により、トラック運転手の拘束時間・労働時間・運転時間などの上限時間は変更となっています。

法令に違反しない就労環境・労働時間の改善が必要となります。

まとめ

更新制の導入は、運送業界にとって「新たなハードル」であると同時に、「信頼できる事業者の証明の機会」にもなります。

貨物自動車運送事業の許可更新制の内容が、「一般貸切旅客運送事業の更新制の内容と同じとなるか?」はわかりませんが、
いざ制度が始まったときに慌てないためにも、今のうちから体制整備を始めておくことが、事業の継続と発展につながることは確かなことです。

運行管理者や整備管理者に変更はありませんか?

人事異動や退職などにより、運行管理者や整備管理者に変更があった場合は、速やかに管轄の運輸支局への届出が必要です。

しかし実際には、「届出が必要なことを知らなかった」「うっかり忘れていた」といった理由で、変更届が提出されていないケースが少なくありません
このように届出を怠っていると、行政処分の対象となる可能性があります。

現在、一般貨物自動車運送事業についても、許可の更新制の導入が予定されており、事業者の法令遵守がより厳しく問われる時代になってきています
更新制度の本格導入を前に、いま一度、自社の管理体制に不備がないかを見直すことが重要です。

【届出の期限にご注意ください】
運行管理者に変更があった場合:1週間以内
整備管理者に変更があった場合:15日以内

変更届の提出はお任せください

当事務所では、運行管理者・整備管理者の変更届の作成および提出代行を承っております
届出書類の作成には、一定の知識と手間がかかるため、日常業務でお忙しい運送事業者様にとっては大きな負担となることもあります

「うっかり忘れていた」では済まされない法令遵守対応を、専門の行政書士がしっかりとサポートいたします。
どうぞお気軽にご相談ください。

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