トラック運送業に「更新制」導入?5年ごとの許可更新とは

運送業許可の更新制

2025年、トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)に「5年更新制が導入される見通しとなりました。これまでは、原則として一度許可を取得すれば更新の必要はありませんでしたが、今後は5年ごとに更新手続きを行う必要があります。

この記事では、制度の背景や変更点、具体的な更新手続きの内容、注意点などを行政書士の視点からわかりやすく解説します。

目次

なぜ更新制が導入されるのか?背景を解説

国土交通省は、運送業界における安全対策の強化事業者の質の確保を目的として、許可制度の見直しを進めています。

「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(改正貨物法)」が改正、「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律(トラック事業適正化法)」の制定は、”トラック運転手の適切な賃金の確保”・”不当な運賃で運送させることの防止”・”悪質事業者を排除する”ことなどを目的にしています。

トラック事業適正化法の主な内容
  • 許可の更新制
  • 国土交通大臣が適正原価を定め、運賃・料金が適正原価を下回らないことの義務化
  • 許可を持たない違法な有償トラック運送の禁止
  • ドライバーへの適正な賃金支払い
5年更新制主な導入理由
  • 許可取得後の管理が不十分:許可を取得したまま、実態のない運送業者が残るケースがある
  • 安全性の確保:定期的なチェックにより、安全管理体制の継続を確認する
  • 事業の透明性向上:コンプライアンス違反業者の是正や淘汰につながる

このような観点から、「一度取得したらずっと有効」な制度から、定期的な更新制へと大きく制度が変更されることになります。

いつから更新が必要になる?適用時期と対象事業者

更新制については、交付から3年以内に施行される見込みです。
運送業許可の更新制度が始まると、事業者は定期的に事業許可の更新審査を受けなければなりません。

対象となるのは、一般貨物自動車運送事業者であれば、すべての事業者が更新制の対象となります。

今回の改正により、更新制になることで、安全管理・財務状況・法令遵守の強化、健全性の維持、向上を図る責任がより一層求められます。

更新制に向けた今からの準備ポイント

1. 定期的な社内チェック体制の構築

運行管理、安全管理、整備管理などの内部管理体制の見直しが必要です。

2. コンプライアンスの強化

点呼記録、運転者台帳、車両管理記録の適切な保存と更新を怠らないことが求められます。

まとめ

トラック運送事業(一般貨物自動車運送事業)の許可制度には更新制度がなく、一旦許可を取得すると特別な事情がない限り事業を継続することが可能です。

今回、国土交通省が許可更新制度の導入を進めているのには、運輸業界の透明性の向上・安全管理の向上・適正な輸送価格などの目的があります。

「5年更新制」の導入は、単なる制度改正ではなく、運送業界の信頼性と安全性の再構築を目的とした重要な転換点です。
更新手続きが必要になることで、より一層の管理体制の強化が求められることになります。

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